2010年にF1に復帰したエンジンメーカーのコスワースは、同年にはウィリアムズ、HRT(ヒスパニア・レーシング)、ヴァージン、チーム・ロータスの4チームにエンジンを供給していた。
しかし、このうちチーム・ロータスは今年からルノーエンジンに変更し、さらにウィリアムズも来年からルノーエンジンを搭載することが決定している。これにより、来季のコスワースエンジン供給先としてはHRTとヴァージンの2チームだけになってしまうことが見込まれている。
しかし、コスワースはそれでも来年度以降もF1に残り、2014年からの導入が決定しているV6エンジンの設計も進めるとしている。
イギリスのノーザンプトンに拠点を置くエンジンメーカーであるコスワースは、F1に戻ってきた2010年にはそのプログラムを実行可能とするために最小限のユーザーが必要とされていた。
しかし、コスワース代表のマーク・ギャラガーは、たった2チームだけになってもコスワースは生き残れるのか、との質問を受け、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように答えている。
「われわれはそれぞれのチームとの契約は、まったく別のものだと考えている。それぞれのチームごとに、エンジンやサーキットでのサポート、開発、それぞれのクルマに対する個別の調整などに関する固定のコストが設定されている」
「だから、それぞれの契約ごとに利益がある。2012年について言えば、これまで3つに分けられていた利益が2つになるだけだよ」
さらに、コスワースの最高責任者であるティム・ルティスが次のように続けている。
「2010年にはわれわれは新しいチーム(ロータス、HRT、ヴァージン)をメインとして供給を行った。その時点で彼らが生き残れるのか誰もわからなかった。もしそれらのチームのうちひとつがダメになってしまう可能性というものを考慮していなかったとしたら、それはナンセンスだよ」
「4番目のチームとしてウィリアムズに供給できたのは、われわれにとってはボーナスみたいなものだったんだ」
そして、ルティスはウィリアムズがいつなんどき、他メーカーへ乗り換えるかもしれないということは常にはっきりしていたことだと述べた。
「(ウィリアムズ会長の)アダム・パーはいつもわれわれに対してはっきりとした態度を示していたよ。初めから、大手自動車メーカーと組むチャンスがあればすぐにそれに飛びつくと言っていたよ」
将来に関しては、コスワースは当初2013年から4気筒エンジンとする案が示されていたが、これが2014年からV6エンジンにするという計画に変更されたことを歓迎している。
「4気筒ではコスト削減にはつながらなかっただろう。大きなメーカーはその開発のために最低でも6000万ユーロ(約67億円)はかかると見込んでいたが、われわれは顧客からの支払いが頼りなんだ」
ギャラガーによれば、V6の場合は開発のためのコストをさらに効果的に限定することができると付け加えた。
「また、われわれには顧客が残ることが保証されているんだ。フェラーリ、メルセデス、そしてルノーは提供先が決まっている。少なくとも2チームが、われわれに残ることを約束したよ。3チームになればもっといいがね」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』はコスワースが新たにフォース・インディアか、もしくは来季以降のルノーエンジン供給が不安視されているロータス・ルノーGPとの契約を視野に入れているようだと推測している。