ミシュランがF1に復帰し、「タイヤ戦争」が復活するかもしれない。ミシュランのモータースポーツ部門トップ、ニック・ショロックが明かした。
フランスに本拠を置く世界有数のタイヤメーカーであるミシュランは、2001年にブリヂストンと競合する形でF1に参戦し、タイヤ戦争とも呼ばれるほど激しい開発戦争でファンを楽しませていた。しかし、当時のFIA(国際自動車連盟/F1の統括団体)会長マックス・モズレーがF1のタイヤ供給メーカーを1社に絞る方針を固めたため、これに反対して参戦から5年後の2006年シーズン終了時にF1から撤退していた。
ミシュランの撤退を受け、2007年シーズンから2010年シーズンまでは、ブリヂストンが単独でF1へタイヤを供給。しかし、1997年からF1参戦を続けていたブリヂストンも昨シーズン終了時にF1を離れ、2011年シーズンからはイタリアのピレリがタイヤを供給している。
ミシュランがF1を去ったのは、タイヤメーカー同士の競い合いがなくなることに難色を示したためだ。しかし、F1で再び戦いたいという気持ちはあるようで、ショロックはイタリアの『AGI』に対し、F1再参入への思いを次のように語っている。
「ミシュランはFIAによるレギュレーション変更を興味深く見守っている」
「われわれは、もっと多くのタイヤメーカーが参入できることを望んでいる。相手がいるからこそ競い合うことができるんだ。レギュレーションがそういった方向に変更されれば、復帰の可能性を検討することになる」
その一方、F1の最高権威バーニー・エクレストンは、ピレリが製作した今季のタイヤに満足しているようだ。今季のピレリタイヤは『がけから落ちる』ようだと表現される通り、あるタイミングで大きく性能が低下する設計となっている。
「皆が望んでいるのはレースであり、これまで開催されたレースはどれも素晴らしかった」そう話すエクレストンのお気に入りドライバー、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は2011年の選手権を制覇してワールドチャンピオンの称号を手中に収めようとしているが、今季のチャンピオンについてエクレストンは一味違った見解も持っているようだ。
「世界選手権の真の勝者はピレリだよ」