レッドブルのセバスチャン・ベッテルは先週末に開催された日本GPの際に、イギリスのファクトリーから最新のフロントウイングを日本へ空輸した費用を負担したいと申し出ていたという。
レッドブルは日本GPへ向け、新型のフロントウイングを2セットのみ持ち込んでいた。ひとつはもちろんベッテルのためであり、そしてもう1つはチームメイトであるマーク・ウェバーのものだった。
ところが、ベッテルは7日(金)のフリー走行でクラッシュを喫し、自分の新型ウイングを壊してしまった。
しかし、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、クラッシュの原因がベッテル個人のミスであり、チームのミスではないため、いくらベッテルがそのレースでタイトル獲得に王手をかけていたとはいえ、ウェバーのウイングを取り上げてベッテルに渡すことは決して考えなかったという。
そして、ベッテル用の新型ウイングが急きょイギリスから取り寄せられたが、日本GPを開催中の鈴鹿サーキットへ実際にウイングが届いたのは、予選開始のわずか20分前のことだった。
3度タイトルを獲得したことで知られるF1界のご意見番、ニキ・ラウダが今週『Servus TV(セアヴスTV)』のレッドブル提供番組の中で明らかにしたところによれば、ベッテルはこの自家用機による長距離輸送にかかった高額な費用を自分で負担したいと申し出たという。ラウダはこの件について次のように付け加えている。
「このことを知って驚いたよ。そして彼らが今、どんなにうまく調和しているのかということが分かった」
「ドライバーの立場で輸送費を負担しようなんて、私なら決して考えなかったよ。しかし彼は、自分にその原因を作った責任があるから、その余分なコストを負担するのは当然だと言ったんだ。これこそこのチームを成功に導いた要素だよ」
ちなみに、自ら航空会社を所有するラウダの試算によれば、レッドブルのファクトリーがあるイギリスのミルトンキーンズから鈴鹿までのウイング輸送費用は、おおよそ15万ユーロ(約1,600万円)だという。