先週末のハンガリーGPで3戦連続で優勝を逃したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、彼のライバルたちも、評論家や記者たちと同様に、彼が今季のチャンピオンシップを獲得することは間違いないという見方をしているようだ。
ドイツのニュース雑誌の『Focus(フォーカス)』はハンガリーGPで優勝したジェンソン・バトン(マクラーレン)が表彰台の真ん中で笑っていたものの、実はその陰でむっつりした顔をしていたベッテルについて、優勝はできなかったが、2位となったことで、ドライバーズポイントで2位のマーク・ウェバー(レッドブル)に対して、リードを実に85点もの大差に広げたことを指摘している。
また、元F1ドライバーのジョニー・ハーバートも『The National(ザ・ナショナル)』の彼の最新のコラムで次にように述べている。
「もう、間違いなく、いつベッテルが彼にとって2度目となるワールドタイトルを確定するのかを待つだけになったね」
しかし、何人かの評論家はマクラーレンやフェラーリが当初圧倒的な差を誇っていたベッテルのペースに追い付いてきていることから、ベッテルもうかうかしていられないとの見方をしている。
これに対してハーバートは次のように書いている。
「ベッテルのリードはものすごく大きいから、これからはコンスタントに4位か5位に入れば十分なんだよ」
同様に悲観的な意見なのはフェラーリのテストドライバーのマルク・ジェネだ。彼はスペインの『El Mundo(エル・ムンド)』のコラムに次のように書いている。
「われわれ(フェラーリ)の復活は素晴らしいよ。でも残念ながらチャンピオンシップの状況はさほど変わっていないね」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、今季の残りのレースはレッドブル、マクラーレン、フェラーリの3チームによる僅差の争いが繰り広げられるだろうとしながらも、ベッテルをイタリアの自転車レース「ジロ・デ・イタリア」で独走するトップランナーにたとえて次のように書いている。
「タイトルを争うにはもう遅すぎる。ピンクのジャージ(マリア・ローザ/総合タイムが首位の選手に与えられるピンク色のジャージ)はもうはるか前だ」
「もはやベッテルのパフォーマンスのアドバンテージはなくなったが、これからベッテルは足よりも頭を使えばいいのだ。彼の背後で他のライバルたちがお互いにポイントを取り合う間にね」
ルノーの元マネジング・ディレクターであったフラビオ・ブリアトーレも、1日(月)にラジオ局『Onda Cero(オンダ・セロ)』に、もう「なにか悲劇的なことが起こりでもしない限り、チャンピオン争いは終わった」と述べている。
また、フォース・インディアのリザーブドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグもドイツのTV局『Sky(スカイ)』に、ハンガリーGPの結果を受けて次のようにコメントしている。
「それ(ベッテルが2位となったこと)が、彼がワールドチャンピオンになる方法だよ」
2009年にブラウンGPでタイトルを獲得したバトンを引き合いに出せば、当時のブラウンGPは小さなチームで、予算も少なく、バトンのシーズン半ばでのポイントリードも(今年のベッテルより)もっと少なかった。さらにバトンには初めてのタイトル獲得というより大きなプレッシャーをも抱えていたはずだ。それでも、バトンは2009年のタイトルを獲得している。
バトンは当時のことを思い出しながら、『The Independent(インデペンデント)』に次のように語っている。
「もしあのとき、今のベッテルと同じだけのポイント差があったとしたら、全然プレッシャーなんか感じなかっただろうね」
そのバトンは今週、夏休みを楽しむためにハワイへ向かっている。『Bild(ビルト)』紙によれば、ベッテルはマジョルカ島へ行くという。
『Die Welt(ディー・ヴェルト)』には次のようなベッテルのインタビューが掲載されている。
「太陽からちょっとばかりエネルギーをもらわなきゃ」
そして、イタリアの『Tuttosport(トゥットスポルト)』は次のように書いている。
「ベッテルは安心して休暇を楽しめるだろう」