F1カナダGP、観客にとっても大きな試練に

2011年06月15日(水)

「待つべきか、帰るべきか?」これが、12日(日)の午後、大雨で長時間ずぶぬれとなったカナダGPの観客がとりつかれた疑問だった。『La Presse(ラ・プレス)』が伝えている。

モントリオールに降り注いだ雨は、F1関係者と世界中でテレビを見ていた観客に2時間以上もの待機を余儀なくさせた。また、日本時間では深夜から早朝にかけてのレースだったため、睡魔に負けてしまったファンも少なくないようだ。

そして、現地でただただサーキットに川となって水が流れるのを見ているしかない観客にとっては、帰宅を考えるのも当然だっただろう。

「僕は決して帰ろうとは思わなかったよ」兄弟とともにニューヨークから観戦に来ていた一人の観客はこう言った。「だって遠くから来たんだもの。そんなに簡単にあきらめられないよ」

地元の観客もこう付け加えた。「今日のために1年間も待ったんだ。カナダでも最大のイベントだからね」

レース主催者はレース終了までサーキットにとどまった観客数などは発表していない。しかし、観客のうち4分の1、もしくは半数近くの人たちがサーキットを立ち去ったとみられている。

「帰るのが常識だよ」サーキットを去った一人の観客はこう言った。彼は10歳の息子を連れて観戦にきていた。「まるで洪水みたいだったし、あれじゃとても楽しめる状態じゃなかった」

「それでも、モントリオールでは楽しい週末を過ごすことができたよ」と彼は付け加えている。

ニュージャージーから来ていた別の観客もやはり立ち去った一人だ。
「まるで台風の中心にいるみたいだったよ。雨はすごく激しくて自分の席から動くこともできなかったんだ。なぜレースが中断されたかってことはよく理解できるよ」

1978年から毎年カナダGPを観戦しているというカップルもまた、レース中断を告げる赤旗が振られた時点でサーキットを去るという決断をし、出口でこう言い残していったという。
「どうせベッテル(セバスチャン・ベッテル/レッドブル)が勝つわよ」

しかし、雨を耐えしのんで最後までサーキットに残った観客は、レース終盤に上位勢が繰り広げた激戦、そして、最終周でジェンソン・バトン(マクラーレン)がトップのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)を抜き去って逆転優勝を果たすという、大興奮の結末を目撃することができた。

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