ブロウン・ディフューザー規制はレッドブルに有利?

2011年07月01日(金)

来週のイギリスGPから施行されるブロウン・エキゾースト規制により、レッドブルはこれまでに比べて1周につき0.5秒遅くなるかもしれないとされている。

ブロウン・エキゾーストとは、クルマの後部にあるディフューザーと呼ばれる空力パーツに排気ガスを当て、ディフューザーの効率を上げるシステム。今回規制されるのは、ドライバーがアクセルを踏んでいないときにも排気ガスをディフューザーへ流し、ダウンフォース効果を維持させるシステムで、そのシステムを最も効率的に利用しているのがレッドブルであると言われていた。

しかし、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーはオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に対して、これまでレッドブルのクルマはドライバーがブレーキング時やコーナーでスロットルをオフするときに有効な”ホット・ブロウイング”からではなく、”コールド・ブロウイング”からのみ効果を得ていたのだと発言し、物議をかもしている。

ホット・ブロウイングの方が効果は大きいとされているが、今回の規制による影響も大きいと言われ、コールド・ブロウイングの方が規制による影響は小さいとみられている。そしてこれまで、レッドブルはホット・ブロウイングを採用しているとされていた。

「われわれの場合は、この(ディフューザーによる)効果が得られるのは冷たい空気が当たっているときだけだ。他のチームでは排気を当てることによってもっと効果を得ているはずだがね」

「この規制が、他のチームと比べた場合にどれだけレッドブルに影響を及ぼすのかはイギリスGPでわかるだろう。われわれのシミュレーションによれば、遅くなるのは0.3から0.5秒程度だと考えているが、多分、他のいくつかのチームではもう少し遅くなるだろうね」

もしこれが事実であれば、主なライバルたちはレッドブルに対して、イギリスGPでも、またそれ以降のGPでもさらに後れを取ってしまうことになるだろう。

元F1ドライバーのカール・ベンドリンガーも次のように述べ、レッドブル優位は動かないとしている。

「レッドブルの優位性はイギリスGPでさらに大きくなると信じているよ。今回のエキゾースト・システムの規制は全チームに対してのものだが、エイドリアン・ニューイ(レッドブル最高技術責任者)は空力の天才なんだ。イギリスGPが行われるシルバーストンではこの空力がとても重要だからね」

しかし、マクラーレンのリザーブドライバーであるベドロ・デ・ラ・ロサは『EFE』に、イギリスGPにおいてどのチームが強く、どこが弱いのか、ということは「誰にも見当もつかないことだ」と語った。

「今回の規制は大きな影響を及ぼすだろう。クルマはダウンフォースを失うために、より遅くなる」

しかし、同時に「希望の光もある。どのクルマがその技術の先駆者で、これまで他のどのクルマよりもそのパフォーマンスを最大のものにできていたのか、ということは皆わかっているからね」と続け、暗にレッドブルの優位性がここで失われることへの期待感を示している。

そんな中、少なくともヴァージンのティモ・グロックは、この規制が苦戦を余儀なくされているヴァージンに対し、どういう効果を及ぼすかよく分かっているようだ。グロックは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』へ次のように語っている。

「僕らのクルマは、これまでにこの技術を使っていないからね。何も変わらないよ」

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