小林可夢偉が昨年から所属しているザウバーは、F1ルーキーにとって最高なチームだ。同チームの創設者であり、現在もチーム代表を務めるペーター・ザウバーが語った。
可夢偉はトヨタのサードドライバーを務めていた2009年、シーズン終盤にレースドライバーが負傷したため、急きょ代役としてF1デビューを果たした。わずか2戦のみの出場だったものの、この2戦での活躍で可夢偉はF1界に鮮烈な印象を与え、翌年のレギュラードライバー昇格は確実とみられた。
しかし、2009年限りでトヨタがF1を撤退。これで可夢偉のF1キャリアも窮地に陥ったかに思われたが、ザウバーが可夢偉と契約し、可夢偉はザウバーでF1キャリアを続けることとなった。
そのザウバーで可夢偉は昨年、レース中に現代のF1では見られることが少なくなった追い抜きを連発して評価を上げた。そしてザウバーは今年、F1フル参戦わずか2年目の可夢偉をチームリーダーに据え、ルーキーのセルジオ・ペレスと契約。ペレスもこれまでの3戦では高い評価を得ている。
「また若いドライバーを起用して報われたことが、特にうれしい」とザウバー代表は『Sonntagsblick(ゾンタークスブリック)』語った。
ザウバー代表が語るように、ザウバーは若いドライバーを起用することが多く、かつてはキミ・ライコネンやフェリペ・マッサ(フェラーリ)がザウバーでF1デビューを果たした。また、BMWがチームオーナーだった時代には、ロバート・クビサ(ロータス・ルノーGP)やセバスチャン・ベッテル(レッドブル)も同チームでF1にデビューしている。
「ルーキーとともに戦うのは、常にリスクがつきまとう。だが、今回もわれわれは成功したよ」
「正しい決断を下すということだけではなく、彼らが成長できる環境を用意するのも重要なことだ。大げさなことではなく、F1ルーキーにとってザウバー以上にいい場所はないと言い切れる」とザウバー代表は胸を張った。