ダン・ウェルドン死亡事故を受け、インディカーへ安全対策強化を求める声

2011年10月19日(水)

先週末にラスベガスで行われた2011年インディカー・シリーズ最終戦で多重クラッシュに巻き込まれ、ダン・ウェルドン(サム・シュミット・モータースポーツ)が命を落としたことを受け、その波紋がF1界に広がっている。

ウェルドンは、イギリス人で享年33歳。ジェンソン・バトン(マクラーレン)を始め、かつて同じコース上でバトルの火花を散らした者もおり、その名はF1のパドックで広く知られている。アメリカ最高峰のカテゴリーでレース中に発生した死亡事故ということもあり、ウェルドンの事故死は、大きな衝撃をもって受け止められているのだ。

そして当然ながら、インディカーはF1から多くを学ぶべきという声も多い。

1979年のF1でフェラーリに乗ってチャンピオンとなったジョディ・シェクターは、次のように『BBC』へ話す。「今やインディカーは、もっとも危険なモータースポーツとなった」

最終戦の舞台となったラスベガス・モータースピードウェイは、全長1.5マイル(約2.4km)。オーバル(楕円)の高速コースになっていることに加え、今回のレースは多くのエントリーを集めたため、ドライバーの力量もさまざまだった。その点を指摘する関係者もいる。

SUPER AGURIで佐藤琢磨(現インディカー:KVレーシング・テクノロジー)のチームメートだったアンソニー・デビッドソンは、こうコメントした。「インディカー・シリーズの安全面は高くない。僕だったら乗らないな。その価値はないよ。マシンだって時代遅れだし」

デビッド・クルサードも同意見だ。クルサードは2008年にF1を引退、今は活躍の場をDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に移している。『Telegraph(テレグラフ)』誌のコラムでクルサードは、こう書いている。

「僕にも、家族とアメリカに移り住む選択肢はあったんだ。でも、リスクとその見返りを天びんにかけると、僕にとってはリスクの方がはるかに重かった。F1の安全性は受け入れられるレベルだったけど、インディカーは昔も今も、F1より20年くらい遅れている」

1992年にウィリアムズでF1タイトルを獲得後、インディカー(当時はCART)に転向し、インディカーでもチャンピオンになったナイジェル・マンセルは、こう語る。「安全面で、F1は申し分ないよ」

再びクルサード。「(ウェルドンの死で)もしかしたらIRL(インディ・レーシング・リーグ:インディカー主催者)も安全性向上に本腰を入れるかもしれない。マックス・モズレー(国際自動車連盟/F1統括団体の前会長)については、いろいろな評判があるけど、ひとつ言えることがある。僕を含めF1の皆は、1994年サンマリノGPで起きた2件の死亡事故(ローランド・ラッツェンバーガーとアイルトン・セナ)を受けて安全措置を取った彼に、感謝しなければならない」

3度の世界チャンピオン、ジャッキー・スチュワートも同調する。「(インディカーの)統括団体(IRL)には、もっと厳しい姿勢が求められると思う。ドライバーの接触が日常茶飯事になったら、罰則を引き上げるべきだよ」

BRDC(ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ)のデレック・ワーウィック会長は、こう話す。「彼ら(IRL)は、グリッドに並ぶドライバーの実力についてもっと理解しなくてはならない。F1ドライバーは、F3やGP2のような下位カテゴリーでタイトルを取ってきた、優秀な者ばかりだ。そんな彼らも、スーパーライセンスを受けて初めてF1で走ることができる」

「インディカーを見ると、時折ドライバーの顔ぶれに疑問を抱いてしまう。経験不足は往々にして事故に結びつくからね。競技の運営方法に少し手を加える必要があると思う」

元F1ドライバーであるマーク・ブランデルも北米のレース経験を持つひとりだ。「あのようなマシンがあのようなコースを走ってはならないね」

スチュワートは、『Sky Sports(スカイ・スポーツ)』にもコメントしている。

「小さなコースを大馬力のマシンがあれだけ走ったんだよ。しかも一流とは言えないドライバーも中にはいる。インディカーは、もっと小さいエンジンで馬力も抑えめにして、スピードを落とせないものか?」

2000年にF1を退いて、一度は北米への転戦も考えたジョニー・ハーバートは、インディカーの死亡事故はやむを得ないと考えている。ハーバートは、『The National(ザ・ナショナル)』紙のコラムで、次のように書いた。

「あのような究極のレーシング・スタイルが存在する限り、死亡事故は続くだろう。インディのマシンはとんでもないスピードだ。それをバンク角の大きいオーバルコースで走らせたら、さらなるドライバーが犠牲となるよ。いかなる安全措置が取られようとね」

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