今年10月、アメリカのインディカー・シリーズ最終戦(ラスベガス)で発生した多重クラッシュにより、ダン・ウェルドン選手が死亡するという痛ましい事故が起こったことはまだ記憶に新しいところだが、元F1ドライバーのジャック・ビルヌーブが、そのレースに出走するチャンスがあったものの、あまりにも危険だと考えてそのオファーを断っていたということを明らかにしている。
そして、最終的にその500万ドル(3億9000万円弱)の賞金に挑むというオファーを受諾したのがウェルドンだったという。
1997年にF1でワールドチャンピオンに輝いた実績をもつビルヌーブは、F1に転向する前はインディカーのチャンピオンであり、インディ500の勝者でもある。そのビルヌーブがブラジルGPが行われたインテルラゴスで『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のインタビューを受け、ウェルドンの死に言及しながら、自分がラスベガスのレース出場を断ったのは“明らかにこの理由によるものだ”として次のように語っている。
「小さなオーバルコースで34人ものドライバーが一緒に走ったら、常に2、3人はスピンを喫する者が出るし、あるいは事故の原因を作るルーキーがいるものだ」
「リスクを負うことは承知のうえだが、でもあれは僕にとっては大きすぎるリスクだった。時速300キロメートルで壁に向かって飛んでいくのがどういう感じかということを知っているからね」