セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、2012年もほぼ確実にドライバーズタイトルを獲得し、3連覇の偉業を成し遂げるであろうという周囲の予想をけん制した。
今シーズン、ドライバーズランキング2位のジェンソン・バトン(マクラーレン)に122ポイントという圧倒的な差をつけて史上最年少でのF1連覇を果たしたベッテル。そのため、2012年のF1が開幕するオーストラリアへ向かうまでのわずか80日間で、ベッテルとレッドブルの優位性が変わることはないだろうと考える者は多い。
そんな世間の予想がある中、ベッテルはフランスの『Auto Hebdo(オート・エブド)』とのインタビューで「僕たちはまた勝利を狙っていくよ」と語り、次のように続けた。
「でもこのスポーツのいいところは、新しいシーズンが開幕する前に全員がまた振り出しに戻るところさ。僕がまた勝てるかどうかはレッドブルが競争力のあるクルマを造ってくれて、エンジン供給元のルノーがパワフルで信頼性の高いエンジンを供給してくれるかどうかにかかっている。確かなことなんて何もないよ。成功を持続することができるかどうか、保証なんてないんだ」
今シーズンの圧勝劇は懸命な作業の賜物(たまもの)であるとし、それをこれからも続ける必要があるとベッテルは語っている。「1年を通してクルマの競争力を維持するために僕たちは攻め続けた。マクラーレンの進化はとてもすごくて、最終的に僕たちとほとんど互角になった。1台のクルマがシーズンを支配するなんてことはないと思うよ」
一方のバトンは、こういったベッテルの意見に賛成はしていないものの、マクラーレンが来年、よりレッドブルに迫ることができると信じている。「僕たちは完ぺきではなかった。レッドブルは僕たちよりも速かったし、安定していた。でもシーズン全体としては悪くなかったよ。チーム全体で成長することができたし、2012年に向けて確固たる基礎を築けているしね」
マクラーレンにとって重要なことは、2011年シーズン前のような失敗を繰り返さないことだとバトンは考えている。マクラーレンはシーズン前、レッドブルのコピーを急ぐあまり、複雑な排気系システムの設計をあきらめてしまっていた。
その一方、「もし、もっと有効に冬の開発期間を利用できたら彼ら(レッドブル)と戦うことができたというのは間違っている。実際にそうなっていたかは誰も分からないよ」とバトンは述べてチームの擁護し、次のように加えた。
「分かっていることは、僕たちが冬の開発期間でうまくやれなかったってことさ。チームのみんなは、その遅れを今シーズンの開幕戦までにばん回する素晴らしい仕事をしてくれた。でも準備に必要な貴重な時間を多く失ってしまったのは明らかだね」