マクラーレン、MP4-26技術首脳陣Q&A

2011年02月05日(土)

独創的なサイドポッドが目を引く2011年型車MP4-26を発表したマクラーレン。開発を担当したテクニカルディレクターのパディ・ロウとエンジニアリング責任者のティム・ゴスが、MP4-26開発について語った。

Q:MP4-26の目に見える大きな変更点は何ですか?

ティム・ゴス(以下、ゴス):目新しいものがいくつかあると思う。長いホイールベースとU字のサイドポッドはおそらく、その最たるものだろう。その背景にある理論は、リアの下側のメインプレーンとフロアへ、きれいな気流をできるだけ多く流し込むことだ。ダブルディフューザーの禁止でパフォーマンスが低下するので、できるだけリアエンドのパフォーマンスを高めたかった。

ゴス:2011年は、KERS(運動エネルギー回生システム)がサバイバルセル内、燃料タンクの下に設置される1つのユニットになった。2009年はサイドポッド内に設置していたんだがね。KERS冷却用の吸気口は、ロールフープのメイン吸気口のすぐ下に配置した。

ゴス:そして今年も、われわれは冷却面で攻めた設計をした。エンジンカバーには、ギアボックスと油圧系統の冷却用に、2つ目の吸気口を配置している。

Q:2011年に向けて、最大の挑戦になったものは何ですか?

ゴス:私としては2つある。ダブルディフューザー禁止で失われるダウンフォースを取り戻すことと、ピレリタイヤの性能を最大限に引き出すことだ。ピレリタイヤの寿命は約10周。それをもっと長く持たせるようにすることが、大きな挑戦だった。それなので、タイヤをもたせるために、セットアップやサスペンションをじっくりと検討する必要がある。

パディ・ロウ(以下、ロウ):KERSをまた搭載するのが大仕事だった。メルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジン(エンジンとKERSの供給元)へ伝える仕様を決定するため、メルセデスGPと協力したが、これには非常に満足している。非常にうまく連携、協力することができた。2チームが協力するには、難しい点も多いかもしれないが、われわれの協力関係には満足しており、結果も非常にいいものになった。

ゴス:このシステムをパッケージ内に組み込むのは難しいものだった。燃料搭載量が増えているのでね。それが1つ目の挑戦だったが、われわれは乗り越えたよ。さまざまな空力のコンセプトによって、構造に関していくつか難しい決断もあったが、満足できるレイアウトになったと思っている。

Q:このクルマの開発を特徴付けるものとして、チームワークを強調されていましたね。技術首脳陣で最近に行われた組織再編もそれを反映していますか?

ロウ:組織再編によって、エンジニアリング部門内でのティムの役割が大きくなった。だが、社内における次世代の上級エンジニアの作業を代表するという面でもいいものだった。

ロウ:MP4-26では、5名から6名のエンジニアに、それぞれの専門分野での作業を割り振った。ティムのもとでも、これと同じ組織になっている。マクラーレン・レーシングが引き出すことのできる才能の豊かさを、心から誇りに思っているよ。また、新たな人材が高いレベルで直接クルマに貢献する素晴らしいチャンスもあった。

ゴス:それは、彼らだけではなく、わが社にとって、そして最終的な製品にとってもいいことだ。デザイン工程で使える馬力が増えたので、これからはより良いクルマを造っていけるだろう。彼ら全員が素晴らしいアイデアを持っている。使い古された言葉だが、現代のクルマ作りはまさにチームプレーだよ。

Q:発表したばかりのMP4-26に、どのようなことを期待していますか?

ゴス:2011年に向けてわれわれは、空力面で非常に野心的な目標を設定した。われわれは常に上を目指しており、パフォーマンスについては非常に厳しい見方をしている。だが、いい仕事ができたと自負してるよ。

ゴス:これからの数週間で、パフォーマンスを向上させられる分野があることは分かっている。そういった面を確実に向上させて、開幕戦までに信頼性を確保することが課題になる。それも大きな挑戦だよ。

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