セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、いろいろと物議をかもすこととなったFIA(国際自動車連盟/F1の統括組織)によるブロウン・エキゾーストの規制決定について、それほどオーバーに心配はしていないと話した。
このブロウン・エキゾーストとは、コーナーなどでドライバーがアクセルを踏んでいないときにも、空気の流れを利用してクルマを地面に押し付けるディフューザーへ一定量の排気を強制的に当ててやることで、空力的な安定度を高める仕組みのこと。
今回のFIAの規制は、アクセルをオフにした際にディフューザーに送られる排気が、アクセル全開時の10%以下に抑えられなければならない、というもの。7月10日に決勝が開催されるイギリスGPからその規制が適用されることになる。
2010年のF1チャンピオンであるベッテルは、今年もここまで明らかなリードをたもっているが、このブロウン・エキゾーストを他チームに先駆けて導入したのがレッドブルだった。そのため、このシステムを最も効果的に使っているのがレッドブルだと言われている。
しかし、ブロウン・エキゾーストが厳しく規制されることになったため、レッドブルがこれまでのような優位をたもてなくなるのではないかとの見方も出てきた。
エナジードリンクメーカーであるレッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるへルムート・マルコは、この規制は間違いなくレッドブルの優越性を標的としたものだと受け止めており、シーズン半ばというタイミングでの規制は「かなり奇妙なこと」だと述べている。
しかし、ドイツの通信社『SID』は、今回の規制措置によって考えられる影響について聞かれたベッテルが、いたって冷静にこう答えたと伝えている。
「このことが、他のどのチームよりもレッドブルにとって大きな打撃になるとは思っていないよ」
「なぜシーズン途中でこういうことが起こるのかについては議論の余地があるけど、今年の選手権について言えば、まだまだ先は長いからね」
「去年もそうだったように、短い間にいろんなことが起こるものだよ」
実際、昨年の最終戦アブダビGPで優勝したことによってランキングで逆転し、チャンピオンに輝いたのがベッテルだった。そして、今週末にバレンシアで開催されるヨーロッパGPで昨年に優勝したのもベッテルだ。
「去年のヨーロッパGPではとてもよいレースができたし、クルマは調子がいいはずだよ」とベッテルはヨーロッパGP2連覇に向けて自信を見せた。