F1統括団体FIA(国際自動車連盟)が決定したブロウン・エキゾースト規制に対し、レッドブルのモータースポーツコンサルタントであるヘルムート・マルコが怒りを見せた。
ブロウン・エキゾーストとは、 空気の力を利用してクルマを地面へ押し付けるディフューザーへ、排気ガスを流し込むことでディフューザーの効率を上げるシステム。しかし、このままではアクセルの踏み具合によって空力のバランスが変化してしまうため、各チームともアクセルを踏んでいないときにも排気ガスをディフューザーへ流すシステムを開発した。
このシステムについては、レッドブルが最もうまく使えているとみられ、今シーズン独走状態のレッドブルにとって、最大の武器だとされていた。しかしFIAは、7月10日(日)に決勝が行われるイギリスGPから、アクセルを踏んでいないときには、アクセル全開時の10%以上の排気ガスを排出してはならないとルールを変更することに決めた。
『La Stampa(ラ・スタンパ)』は、レッドブルの好調ぶりをよく思わないライバル勢がこの技術を禁止にするよう働きかけたのではと疑うマルコの、こんなコメントを掲載している。
「まねできないなら、アイデアそのものを禁止にしてしまえと考えたに違いない」
「これではフェラーリの思うつぼだ。おそらく彼らの得を考えて決められたんだよ」
なお、FIAの現会長は、フェラーリで長くチーム代表を務めたジャン・トッドである。
近年でもFダクト、ダブル・ディフューザーといった革新的技術がすぐに禁止されたが、いずれもシーズン終わりに禁止された。ブロウン・エキゾーストだけが、なぜこのタイミングで・・・。これも、かねてマルコがやり玉にあげていた点だ。
現在、ドライバーズ選手権でトップに立っているセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の母国ドイツのマスコミは、マルコのこんな話を報じている。「非常に進化したチームに対する不当介入だ」
もっとも、選手権を大きくリードするベッテルはそれほど気にしていない。
「もしかしたら(禁止は)良い方向に働くかもしれない。メルセデス・エンジンを使うチームにとっては、やっかいなことになるからね」