F1を統括する団体であるFIA(国際自動車連盟)が、スロットル閉鎖時の排気ガスを空力に利用する手法に圧力をかけていることが明らかになり、レッドブルとロータス・ルノーGPは怒りを見せている。
ブロウン・エキゾーストは、ダウンフォースを発生させるディフューザーへ排気ガスを流すことで、ディフューザーの効率を向上させるシステム。問題となっているのは、アクセルを踏んでいないときに排気ガスがディフューザーへ流れなくなるのを防ぐため、アクセルを踏んでいないときにも排気ガスをディフューザーへ流す機構だ。
ブレーキングやコーナー進入時にアクセルを踏んでいない状態のとき、排出されるガスの量はアクセル全開時の10%以内にとどめなければならないとする新たなルールは、第9戦イギリスGP(7月10日決勝)から適用されるのではないかと見られていた。
この技術に反対な姿勢を見せているチームの弱小化と、各エンジンメーカーがこの手法の禁止によって信頼性が低下することを懸念しているため、FIAがルール変更を躊躇(ちゅうちょ)するのではないかと伝えられていた。
しかし、FIAの技術責任者チャーリー・ホワイティングは、各チームに来月開催されるイギリスGPまでに改革の猶予を与え、2012年に全面的に禁止されることを認める書簡を送っている。
ホワイティングは、来週にも技術ワーキンググループの会合でチームと、自身の計画について話し合うとされている。
メルセデスGPの代表を務めるロス・ブラウンは『BBC』に、「チームが明確にアプローチに対する問題を見せることができなければ、それは承認されていくだろう」と告げている。
『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・デ・サンパウロ)』は、レッドブルの技術部門代表のエイドリアン・ニューイも怒りを見せていると報じた。
「私は安全性などの問題から、選手権半ばにルールを変更することに同意したんだ。だが、これはそういう問題じゃない。これは不合理だ」とニューイは発言している。
レッドブルにエンジンを提供するロータス・ルノーGPの代表を務めるエリック・ブーリエは次のように語っている。「この原理があるからクルマをデザインし、すでに昨年、数チームが使用していた」
「われわれは選手権が始まるときに技術検査に合格した。それを今止めろというのは、今年いい結果を出すための可能性を妥協しろというようなものだ」
一方、FIA会長のジャン・トッドは先日、洗練された“話題の”ブロウン・エキゾーストは「燃料の無駄」だから、断固たる態度をとっていくと話した。