シーズン序盤戦に圧倒的な強さを見せながら、3レース行われた7月には1勝も記録できなかったセバスチャン・ベッテル(レッドブル)。8月の夏休み前に最後となるハンガリーGPの際、そのベッテルが厳しい表情でライバルのクルマを見つめていた。
「よそのチームのクルマに(レッドブルと)すごくよく似た部分があるのがわかったよ」ベッテルは、『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』にこう語っている。
レッドブルの最高技術責任者であるエイドリアン・ニューイの手によるブロウン・エキゾーストは、今年ライバルチームたちによって模倣されたもっとも明確な例だろう。これは、クルマを地面へ押しつけるダウンフォースを発生させるディフューザーへ排気ガスを流すことで、ディフューザーの効率を上げるシステム。これこそレッドブルが速さを見せた要因だとされ、多くのチームが同様のシステムを開発した。
しかし、ジャーナリストのラルフ・バッハは、レッドブルのクルマの“レーキ”と呼ばれる形状についてもやはり同様に模倣されていると書いた。
以前はフロントウイングを曲げることでレッドブルが大きなダウンフォースを発生させていると思われたが、クルマの後ろから前にかけて大きく傾斜させるレーキこそが、レッドブルが驚異的な速さを見せた理由だったようだ。
『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』はフォース・インディアとフェラーリが、レッドブルの高いリヤエンドを模倣し、その結果としてクルマの前部が低くなったと書いている。
F1の統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の関係者も匿名で次のように述べたという。「レッドブルのクルマの後部が高くなっているのは、はっきりわかるよ」
しかし、メルセデスGPのチーム代表ロス・ブラウンは、単純にレッドブルの模倣をすることには懐疑的なようだ。
「コピーは決してオリジナルにはかなわないからね」