今シーズンの最終戦となったブラジルGPを終えたとき、ザウバーの首脳たちは、少なくともトロ・ロッソとの争いに勝ってチームランキング7位を確保できたことに喜んでいた。
しかし、ザウバーの創設者であり、現チーム代表のペーター・ザウバーは『Blick(ブリック)』紙のコラムで次のように書いている。
「(7位を確保できたことは)うれしいが、だからといってもっと多くを望んでいたということを忘れたわけじゃない」
「シーズンの中盤、われわれは単独6位の位置にいた。だがすぐフォース・インディアに追い越されてしまった」
「その理由はブロウン・ディフューザーと、いわゆる“オフ・スロットル・ブロウイング”と呼ばれるもののせいだ」
ブロウン・ディフューザーとは、クルマを地面へ押しつけるダウンフォースを発生させるためにクルマの後部に設けられたディフューザーと呼ばれる部分へ排気ガスを強制的に流すことでその効率を高める技術。各チームとも、これをさらに進化させ、ブレーキングなどでアクセルを踏んでいないとき(オフ・スロットル時)にもディフューザーへ排気ガスを流すシステムを開発した。
特に今シーズンを席巻したレッドブルがこの技術を最もうまく生かしていると言われており、イギリスGPの際に統括団体FIA(国際自動車連盟)がこの技術の使用をいったん禁止する通達を出したものの、すぐにそれを撤回するという経緯があった。
もしザウバーがそのまま6位となっていれば、ランキングに応じて支払われる商業収入の分配金が多くなっていたはずだ。ザウバーは、シーズン半ばに行われたブロウン・ディフューザーについての論争について言及し、FIAがいったんその技術を禁止しておきながら、すぐにそれをまた認めたということについて非難している。
「FIAが(ブロウン・ディフューザーを)禁止するという声明を出したので、われわれはその開発を中止したんだ。でもそれが間違いだったよ。なぜならFIAが方向転換し、あろうことかこの技術の利用をまた認めてしまったからね」
「これによって、シーズン後半は守勢に立たされることになった。そのシステムを使っているチームはそれを最大限に生かしてアドバンテージを得ることができた。1周あたり1秒以上も違ったからね」
しかし、そのブロウン・ディフューザー問題については2012年には包括的禁止となるという形で決着している。
「それ以外については、(来季に向けた)ルール変更は緩やかだ。それゆえ、われわれのC31(2012年型車両)は革新的なものではなく、的を絞った進化型となるだろう。かなりの変更は加えられるがね」とザウバーは語った。