小林可夢偉が、2012年もザウバーでF1を戦うことが決まった。ザウバーが可夢偉を含めたドライバー陣全員の残留を発表している。
可夢偉は、トヨタの控えドライバーを務めていた2009年、負傷したレギュラードライバーの代役として、急きょ2戦のみF1に出場。ここで同年のチャンピオンであるジェンソン・バトン(現マクラーレン)らトップドライバーを相手に、まったく引かない走りを見せ、一気にF1界の注目を集めた。
トヨタが2009年限りでF1から撤退したため、可夢偉のF1キャリアも危機的な状況かと思われたが、若手の発掘に定評のあるザウバーが可夢偉と契約。ザウバーから初のF1フルシーズンを戦った可夢偉だったが、近年のF1で減ってしまったコース上での追い抜きを連発し、F1関係者やファンからの評価が高まった。
そして、2011年も可夢偉はザウバーに残留。ルーキーのセルジオ・ペレスをチームメートに迎え、F1フル参戦2年目にもかかわらず、チームリーダー役を任されると、シーズン序盤から入賞を連発し、チーム首脳陣も成長した可夢偉に満足していると語っていた。
2012年に向けて、可夢偉はトップチーム移籍を目指していることを示唆する発言も残していたが、トップチームではほとんどのシートが埋まっているもの事実。そんな中、ザウバーが28日(木)、可夢偉とペレス、そしてテスト兼リザーブドライバーであるエステバン・グティエレスが来年も残留することを正式に発表した。
チーム代表のペーター・ザウバーは、次のように語っている。
「役割が大幅に増えた今年、可夢偉は大きく成長した。今年は彼にとってF1フル参戦2年目に過ぎないものの、チームの中でより経験を積んでいるドライバーが果たすべき責任をすでに果たしてくれている。スポーツ面でも、人間性の面でも、われわれは彼に満足しているよ。われわれには、2012年に彼と働くというオプション契約があったが、その権利を行使することに何の迷いもなかった」
また、ザウバーで3年目を迎えることになる可夢偉は、チームに残れることを誇りに思うと語った。
「このチームでもう1年走れることを、とても誇りに思っています。僕や必死に作業をしてきたみんなを信じてくれたペーター・ザウバーとモニシャ・カルテンボーン(チームCEO)に感謝します。2010年は僕たちにとって厳しいシーズンになり、苦しい時期もありました。ただ、僕たちは強いチームなので、それを乗り越えることができたんです」