F1イタリアGPでは、これまでとは大きく異なったDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の運用方法が採用されるが、チーム側にはこれに対応する時間がない。小林可夢偉も所属するザウバーの技術責任者、ジェームス・キーが語った。
DRSとは、走行中にリアウイングの角度を変更させ、空気抵抗を減らすシステム。フリー走行や予選では自由に使用できるが、追い抜き増加という目的のために導入されたことから、決勝では前のクルマから1秒以内に近づいた場合のみ、指定された区間だけで使用が許される。
これまで、決勝でDRSを使える区間は、基本的に1ヶ所のみ。カナダGPやヨーロッパGPではDRSを使える区間が2ヶ所設定されたが、連続するストレート2ヶ所がDRSを使える区間になり、前車との間隔を計測するのは1ヶ所のみだった。統括団体FIA(国際自動車連盟)側の管理システムにより、間隔を計測する地点を複数設定できなかったためだ。
しかし先週、イタリアGPでDRSを使える区間が2ヶ所になり、前車との間隔を計測する地点も2ヶ所設定されることが明らかになった。
だが、イタリアGPの会場となるモンツァ・サーキットは、現代F1では珍しくなった超高速サーキット。そのため、各チームとも極限まで空気抵抗を減らしたウイングを持ち込むが、このウイングはほかのサーキットで使われることが少ない。また、モンツァで使用するウイングは、DRSを使える区間が2ヶ所になるという通知の前に設計されたものであることから、DRSを最大限に活用できない可能性もあるとキーは、次のように語った。
「FIAはいつも、DRSについて1週間前に通知してくる」
「ウイングの開発において、DRSをどれくらい使うことができるのかという点は、非常に重要な要素だ。だが、(モンツァ用ウイングの)設計は、7月には固まっていた」
しかも、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は次のようなキーのコメントも掲載しており、ザウバーはモンツァでDRSを2ヶ所使用できることになると予想していなかったと報じた。
「DRSの効果がどれくらいになるのか分からない。(モンツァ用ウイングでは、DRSの効果が)通常よりも半分になると思う」
もしザウバーのDRSが他チームよりも効果の小さいものであった場合、決勝でDRSを使える場面になったとしても、前のクルマとの速度差が小さくなってしまい、追い抜きを仕掛けるのが難しくなることも予想される。