レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーと、レッドブルのコンサルタントであり、ドライバー育成責任者のヘルムート・マルコは今週、レッドブルがFOTA(フォーミュラ1チームズ・アソシエーション)から脱退したのはもはやチーム間の連携が正しい目的へとは向かわなくなっていたからだと述べている。
FOTAとは、F1に参戦するチームによって結成されたルールや商業的契約等について協議を行う機関であるが、先週まずフェラーリが脱退することを発表していた。そしてレッドブルも2日(金)の遅く、すでに多くの国際的メディアがその日の業務を終えた後に、フェラーリ同様に脱退したという声明を出した。
2007年に前FIA(F1を統括する国際自動車連盟)会長マックス・モズレーとの政治的な争いのさなかに結成されたFOTAは、紳士協定としてのRRA(リソース・リストリクション・アグリーメント/活用できる資源を制限することによるコスト削減協定)の交渉の場となったとともに、F1運営側との交渉における優位な立場をチーム側にもたらしてきた。
しかし今回、このFOTAに分裂の危機をもたらしたのがRRAだった。F1で最大の年間予算を有しつつも近年不振にあえいでいるフェラーリと、コスト削減協定の精神に違反していると非難を受けたレッドブルがこのRRAに対して不服をとなえていたことが原因になったようだ。
マルコは5日(月)にオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』へ、次のように述べている。
「FOTAは、危機的な期間においてその目的を実行した。つまり、それはコストの削減だった。しかし、実際に何が達成されたかと言えば何もない」
ホーナーも「過去12カ月において、FOTAの目的は何だったのかということがまったく明確になっていなかった」とコメントすれば、さらにマルコがこれに続けて、「会議で最低の基準にさえ合意できないとすれば、これらの努力はいったい何のためなのかという疑問が生じるだろう」と述べている。
FOTAの分裂は、レッドブルとフェラーリがF1最高責任者であるバーニー・エクレストンと次期コンコルド協定の交渉を行う際に、より有利な交渉を個別に行える立場を与えることになると信じる者もいる。
また、F1チームが今や、過去にそうであったような資金力という武器による争いに戻ってしまうのではないかと懸念を抱いている者もいる。
こうした見方について、ホーナーは次のようなあいまいなコメントをしている。
「われわれは現段階では脱退することを決めたが、今後どのように進展するか様子をみたい」
ともあれ、当面の間、今回の分裂によってF1で最も大きな資金力を持つレッドブルとフェラーリが一方に、そしてもう一方にはマクラーレンやメルセデスGPといった強力なライバルたちが位置することになる。
メルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者であるノルベルト・ハウグは5日、記者たちへ次のように語っている。
「私は、FOTAの存在は絶対に欠かせないものだと思っている」
さらに、フランスの『autohebdo.fr』が伝えるところによれば、残ったFOTAメンバーは6日(火)に会合を行ったようで、メルセデスGPの最高経営責任者であるニック・フライの次のコメントを紹介している。
「まさに道路で突起物に乗り上げたみたいなものだ。しかし、今後も背後でこれを解決するための試みが継続されてゆくと信じているし、これを支援するためにできることは何でもやるつもりだ」