小林可夢偉(ザウバー)が、ルールの変更もあるF1の2011年シーズンは、コース上での追い抜きが増えるだろうと語った。
2011年のF1には、追い抜き増加を促進するなどの目的で、KERS(運動エネルギー回生システム)が復活するほか、可変リアウイングも導入される。しかし、これによってドライバーが操作する必要のあるシステムが増えてしまい、ドライバーの負担が大きくなりすぎたとの意見もある。これについて可夢偉は、次のような意見を述べた。
「一番重要なのは、新しいシステムでどうやってタイムを短縮するか、どれだけ短縮できるかという点です。僕も新しいシステムを使いこなせるように取り組んでいます。ドライバーに与えられた仕事ですし、これをうまく使えるドライバーが、効率的に使えないドライバーよりも有利になります。集中力の問題ですよ。僕はうまく使えるはずです」
「いろいろと言われていますが、まあ、僕たちはレースドライバーなので、ときどき文句を言うのも仕事のうちなんですよ」
また、こういったシステムによってコース上での追い抜きが増えると思うか質問されると、可夢偉はこう答えている。
「今のところ、僕は増えると思っています。ただ、KERSはほとんど全員が搭載しているので、あまり意味はないでしょうね。それなので、(可変)リアウイングだけということになります。前を走るクルマから1秒というレース中のルールできちんと機能するのか、まだ確信が持てていません」
ここで可夢偉が語った「1秒のルール」とは、可変リアウイングの使用に関するもの。フリー走行や予選では自由に可変リアウイングを使えるが、決勝では前を走るクルマの1秒以内に近づいたときのみ、メインストレートの最終600メートルだけで使うことができると規定されている。
可夢偉は昨年、オーバーテイクと呼ばれる追い抜きを数多く見せて高い評価を得ており、F1の公式ウェブサイトでは可夢偉のことを「オーバーテイクキング」と評していた。しかし、こういったシステムによって追い抜きが簡単になると、追い抜きの価値が下がってしまうことも指摘されているが、可夢偉はそれを受け入れている。
「きっとそうなる(価値が下がる)でしょうね。特に、誰でも追い抜きが簡単にできるようになれば、価値は下がります。でも、そういったルールになったので、心配してもしょうがないですよ」と可夢偉は語った。