ブロウン・エキゾースト騒ぎはF1での 「最大の茶番」

2011年07月14日(木)

過去3度F1チャンピオンに輝いたニキ・ラウダが、イギリスGP開催中に吹き荒れたブロウン・エキゾースト騒動を「茶番」であると一蹴するとともに、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がブロウン・エキゾーストの規制を決めた動機に対して疑問を投げかけた。

ブロウン・エキゾーストとは、クルマを地面へ押しつけるダウンフォースを発生させるディフューザーへ、排気ガスを流すことでディフューザーの効率を高める技術。各チームとも、これをさらに進化させ、ブレーキングなどでアクセルを踏んでいないときにもディフューザーへ排気ガスを流すシステムを開発した。

しかし、FIAはブロウン・ディフューザーへの規制を決定。イギリスGP以降は、アクセルを踏んでいないときにはアクセル全開時の10%以上の排気ガスを排出できないことになる予定だった。

だが、現在のF1で最も速さを見せており、今回の規制の標的とも言われていたレッドブルを含むルノーエンジン勢は、エンジンの信頼性に問題が出るとして、50%の排気を認めるよう要求。FIAはこれを認めた。しかし、各チームの抗議によってこれが撤廃され、今度はレッドブルなどが猛反発。最終的には、イギリスGP前の規定へ戻すこととなった。

イギリスGP前の規定では、ブロウン・エキゾースト自体に規制はかけられないが、予選と決勝の間でエンジンの設定を変更することが禁止になる。このため、予選では特別な設定でより多くの排気ガスをディフューザーへ流し、決勝ではより信頼性の高い設定へ変更するとうことができなくなる。

この問題について、ラウダはドイツの『N-TV』に対し、現在のポイントリーダーであるレッドブルのセバスチャン・ベッテルに言及しながら、次のように述べた。

「もしそう(レッドブルが標的)だったとしたら、それは最大の暴挙だと言える。誰かがほかのドライバーより強いというだけでそれを罰することなんてできないはずだ」

イギリスGPで起きた今回の醜聞に関し、ラウダは「これまでで最大の茶番」だとしている。

「なぜシーズンの途中でルールを変えるんだい? 重要なことは、誰もこのことに対して抗議しなかったということだよ。この手法(ブロウン・エキゾースト)は事実上すべてのチームが容認していたことなんだからね」

「突然、FIAとチャーリー・ホワイティング(FIAのF1技術部門責任者)がシーズン中盤になってこのルールを変えようと思いついたんだ。私には理解できないね」

ラウダは、14日(日)遅くにFIAが全チームの合意要求に基づいて今回のブロウン・エキゾースト規制を撤回し、ヨーロッパGP時点のルールに戻すことが明らかとなった時には安心したという。

「こんな不合理はもうこれでやめにして、2週間後に控えたドイツGPでは、観客もルールがどういうものかをはっきりと理解できるようになっていることを本当に期待しているよ」

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