現役王者セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が“真のレーサーではない”との批判を受ける中、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)がベッテルをかばう姿勢を見せている。
ベッテルは2011年シーズンに連覇を果たすべく選手権を独走しているが、元F1ドライバーでグランプリ優勝経験も持つデビッド・クルサードは、『Telegraph(テレグラフ)』紙に連載中のコラムの中で、24歳になるベッテルの才能には疑問の余地があるとつづっている。
「ベッテルは目の前に立つものをなぎ倒し続けている。それなのに、彼のドライビングを疑問視する人間もいるんだ。まるで、運良くレッドブルに入れただけのドライバーのように言われる。ポールからの優勝ばかりを重ねるから、ごくありきたりなレースドライバーのように言われるんだ」
もっとも、クルサードはベッテルがF1史上「最高のドライバー」にもなりえると考えている。
また、フェラーリのエースドライバーであり2度のチャンピオン経験をもつアロンソも、ベッテルを高く評価している。
「ベッテルが真のレーサーではないなんていう批判は僕には理解できない。べッテルは2連覇に向けてひた走る、才能豊かなチャンピオンだよ」
「確かにベッテルは予選でのいいグリッドを保証してくれる最高のクルマに恵まれているけれど、(ドライバーがベッテルのような結果を得るには)どのレースでもクルマの力を引き出さなければならないし、セバスチャンはすごくうまくやっているよ」
「難しい状況に置かれたときやミスをしたときでさえも、ベッテルは勝利を目指して戦っている。それこそがベッテルの才能を証明しているよ」
ベッテルを擁護する一方で、レッドブルのクルマを設計した当代一流のデザイナー、エイドリアン・ニューイを筆頭とするレッドブルのチーム力もアロンソは認めている。
「レッドブルは僕たちや他のチームよりも上手にレギュレーションを使っていて、今年はいいクルマもある。エイドリアン・ニューイは間違いなくキーパーソンだけれど、彼の後ろに控えるチームも強敵だよ」
「フェラーリはドライバーだけでなくメカニックにとっても魅力的なチームだ。だから、もしニューイがフェラーリ(加入)を望んでくれるなら、彼のクルマに乗る光栄にあずかることになるね」
ニューイのクルマに乗るためのレッドブル移籍を否定し、逆にニューイのフェラーリ移籍を歓迎すると先日も語っていたアロンソは、3冠王者になるまではフェラーリとの契約を更新すると明かした。
「これは僕にとってすごく重要なことなんだ。フェラーリでチャンピオンになるまではキャリアを継続する。2016年までに実現できなければ、2021年までだって続けるよ。20周年を迎えたミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)みたいにね!」