24歳の若さにして、史上最年少でのF1連覇をほぼ手中にしたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が、F1の通算優勝数ランキングで過去の偉人たちに肩を並べ始めた。
今シーズンの開幕前、10勝を記録していたベッテルは通算優勝数ランキングで、ゲルハルト・ベルガーやジェームス・ハントに並び、29位にランクインしていた。その後、ベッテルはレース優勝を量産。第14戦シンガポールGP終了時点で今季9勝を記録し、通算優勝数を19勝にまでのばし、歴代13位になった。
これにより、ベッテルは友人でもある2007年のF1王者キミ・ライコネンの通算優勝数を1上回った。また、1950年代に活躍したスターリング・モス(16勝)、ベッテルの前にF1の史上最年少王者記録を保持していたルイス・ハミルトン(マクラーレン/16勝)、3度のF1王者ジャック・ブラバム(14勝)、2度F1を制したグラハム・ヒル(14勝)といった、そうそうたる面々の勝利数を上回ったことにもなる。
次に歴代勝利数の順位をベッテルに追い越されるのは、マクラーレンで2度タイトルを獲得し、ミハエル・シューマッハ(現メルセデスGP)にとって最大のライバルとも言われたミカ・ハッキネンだ。
通算優勝記録についてベッテルは、こう語る。
「通算勝利数の順位を上げることが本当の目的ではないにせよ、ある意味すごいニュースだよ。だってキミやミカのようなドライバーはみんなが知っているF1ドライバーなんだからね」
ハッキネンを越えると、いよいよ歴代トップテンが見えてくることになる。もっとも、トップに君臨するシューマッハの通算優勝数は、51勝を記録した2位のアラン・プロストを大きく上回る91勝。これを更新するのは、不可能という意見もある。
「シューマッハの記録ははるかかなただ。達成するまでの道のりは本当に長いね。でも僕は現時点でも、すごくうれしいよ」とベッテルはほほ笑んだ。
これまでに27勝を記録しているフェラーリのフェルナンド・アロンソは、ベッテル個人の活躍だけではなく、レッドブルの2011年型車RB7の強さにも感銘を受けている。
「14戦が終わって14回、毎回同じクルマがポールポジションを獲得するなんて、めったにあることじゃない」というアロンソのコメントを『La Stampa(ラ・スタンパ)』紙が掲載した。
また、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』紙は、次のようなアロンソのコメントを伝えている。「彼らは強すぎる。僕たちは落ち着いて2012年のシーズンに向けて準備を進めなければならないね」