土ぼこりとタイヤ。10月30日(日)に行われたインドGPがスリルに欠けた理由はこの2つだ。
F1はインドの混とんと文化、新設のブッダ・インターナショナル・サーキットを味わうインドGP初開催を楽しんだが、レースそのものは刺激が足りなかったとの意見が多い。
イタリアの『Autosprint(アウトスプリント)』誌が数えたインドGPレース中の追い抜き回数は、たった22回。DRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)導入と性能低下を起こしやすいピレリタイヤの採用によって、近年より増加傾向にあった2011年シーズンの平均追い抜き回数を下回っている。
新設のブッダ・サーキットの路面にはクルマが走ることにより路面に残されるタイヤの「ラバー」が乗っておらず、また土ぼこりが多いため、タイヤの地面への吸い付きが悪く、いわゆる「グリップしない」状態になり、追い抜き回数が減る一因となった。
さらに、ピレリのモータースポーツ責任者であるポール・ヘンベリーが明かしたところによれば、未知の要素が多いサーキットでのレースだったことから、インドGP向けのハード側タイヤは「意図的に保守的な」選択になっていたようだ。
簡単に言えば、インドGPに持ち込まれたハード側タイヤは十分な速さがなかったということだ。
ブラジル人ジャーナリストのリビオ・オリッキオも『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』紙に「インドでのレースがショー的要素をやや欠いたものだった理由は何か? 答えは単純。タイヤが普通の、予想の範囲内の動きをしたからだ」とつづっている。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も同意見だ。「唯一の楽しみはベッテル。かつてのミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)のごとき走りだった」