インドGPでフェリペ・マッサ(フェラーリ)とルイス・ハミルトン(マクラーレン)が接触した際、マッサにペナルティーが科されたのは、マッサが避けられる事故を避けなかったためだ。
こう語るのは、インドGPで審判役のスチュワードを務めた元F1ドライバーのジョニー・ハーバート。今シーズンのハミルトンは、レース中の接触が多く、ペナルティーを科されることも多かった。しかし、今回ペナルティーを受けたのは、レース後に不満そうな態度を示していたマッサのほうだった。その理由についてハーバートは、『The National(ナショナル)』紙の自身のコラムで次のように記した。
「マッサがハミルトンの進路に向かって曲がる前に、ハミルトンがどこにいるのマッサが把握していたことは明白だった」
ハーバートはその証拠として、マッサがミラーを見ていたと指摘している。
しかし、やはり元F1ドライバーで、現在は『BBC』の解説者として活躍するデビッド・クルサードは、この意見に同意していないようだ。クルサードは『Daily Telegraph(デイリー・テレグラフ)』に連載している自身のコラムで次のように書いた。
「どうしてマッサが悪者扱いされなければいけないのか、全くわからないね」
「ドライバーは、常に後ろにいるクルマのほうに責任があると教え込まれてきたものだ。私としてはスチュワードたちが今回起こったことを誤解しているようにしか思えない」
クルサードは、スチュワードたちが客観的にではなく、最近増長しつつあるハミルトンとマッサの間の敵意に満ちた確執を背景としてペナルティーを科したのではないかと懸念している。
「ルイスは今年すでにかなりのペナルティーを受けているから、ここでバランスをとっておこう、と彼らが考えたというふうにしか思えないよ」
やはり元F1ドライバーで、現在ドイツのテレビ局『RTL』で解説者務めるクリスチャン・ダナーも今回のペナルティーについては否定的な見方をしている。
「ルイスのアタックは、マッサがコースからはみ出すようなことがない限り成功しなかっただろう」
ハミルトンの良き友人であるエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)さえも、これらの意見に賛成のようだ。スーティルは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、これはいわゆるレーシング・インシデント(レース中に起こりうる不可抗力の出来事)だったのであり 「無用の」ペナルティーだったと述べ、次のように付け加えている。
「どうしてフェリペがペナルティーを受けなくてはならなかったのか全く理解できないよ」