F1関係者はフェリペ・マッサの無線を擁護

2011年10月06日(木)

散々なシンガポールGPに終わったルイス・ハミルトン(マクラーレン)だが、一連の騒動に、とんだ尾ヒレがついていた。

2008年にタイトルを争ったハミルトンとフェリペ・マッサ(フェラーリ)のふたりがシンガポールGP決勝で接触。ハミルトンはドライブスルーのペナルティーを受けた。しかし、怒りが収まらぬマッサはレース終了後、テレビインタビューを受けていたハミルトンに食ってかかるのであった。

ところがその接触前、マッサの担当エンジニアであるロブ・スメドリーがマッサに向かって話した無線で、ハミルトンのレースを「ぶち壊す」よう指示したことが、このほど明らかになったのである。

「できるだけハミルトンを抑えろ。なるべくヤツのレースをぶち壊すんだ。頑張れ」F1の公式ウェブサイトに掲載された動画で、スメドリーがこう語っていた。

この音声に世界中のメディアが飛びついた。マッサは昨年も、チームメートのフェルナンド・アロンソへ進路を譲るようレース中にスメドリーから指示されたことがある。しかも、シンガポールGPはアロンソがルノー在籍時、チーム首脳から指令を受けたアロンソのチームメートが故意にクラッシュした「クラッシュゲート」の舞台でもある。

またもシンガポールGPに暗い影が落ちるのかというわけだ。

これについて元F1ドライバーで現在は『BBC』でF1解説を行っているマーティン・ブランドルは、スメドリーがマッサに意図したところは「ハミルトンの作戦をメチャクチャにすることであって、マシンそのものではない」と、ツイッターに書いている。

「マッサが自らのマシンにダメージを与える必然性がどこにある?」

「スメドリーの役割は、常に自分のドライバーに指示を与え、彼のモチベーションを保つこと。あの音声もその流れだ」と、ブランドルは語った。

『Daily Telegraph(デイリー・テレグラフ)』紙のF1記者トム・キャリーの論調も同様だ。無線交信が引き起こした一連の報道は、「斜に構えて」アンチ・マクラーレンのフェラーリによる陰謀と受け止めるより、ただの「から騒ぎ」と考えるのがふさわしいと述べている。

「結局のところ、彼(スメドリー)は誰でも聴けるオープンな周波数で話していたのだ」と、キャリー。しかしながら、さすがに彼も、「台無しにする」といった言い回しを選んだスメドリーは「ひと言よけいだった」と認めている。

マッサの地元サンパウロの『O Estado de S.Paulo(オ・ エスタード・ジ・サンパウロ)』紙、リビオ・オリッキオ記者もまた、マッサとスメドリーを擁護するひとりだ。

「F1の中身を知っていて、多少なりとも常識を備えるものであれば誰もが、あのようなスメドリーの言動はレース進行中にありがちだと分かるはずだ。しかも、思ったよりもひんぱんに行われる」

「“ハミルトンのレースをダメにする”すなわち“ハミルトンを潰(つぶ)す”ことにはならない。従って、あの(無線)公開は、大した意味を成さないのだ」

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