ルイス・ハミルトン(マクラーレン)の父親アンソニー・ハミルトンは、2008年のF1世界王者の息子が好からぬ理由でニュースをにぎわせていることをうけ、息子ルイスのマネジメントチームを批判している。
先日のシンガポールGP(9月25日決勝)期間中にハミルトンは、2008年に世界王座をめぐって熾烈(しれつ)な争いをしたフェラーリのフェリペ・マッサと2度にわたって接触。そしてレース後、ハミルトンはマッサを振り払うような仕草をしていた。
「みんなかなりヒートアップしていたね」とマクラーレン代表のマーティン・ウィットマーシュは笑いながら肩をすくめた。「フェリペは少々乱暴にルイスの腕を掴んだ印象がある。ルイスはそれを振り払うことで、さらなる対立の火種を避けていたんだよ」と指摘した。
だが、そのハミルトンはマッサに向かって「俺に触るんじゃない」と声を張り上げると、メディア対応の義務を終えることなく、汗でびしょぬれのレーシングスーツのままサーキットを後にした。
「僕は彼(ハミルトン)を2度呼び止めたけど、無視して去ってしまった。僕を見ることさえもなかったよ。僕は”そんな風にして君はこれからたくさんの選手権を勝ち取るんだろうね”って言ってやった。彼の父親なら何とかしてくれるかもしれないね」と皮肉たっぷりにマッサは語った。
『Bild(ビルト)』紙は、「なぜハミルトンほどの才能を持った者が、いつもバカなことをしでかすのか理解に苦しむ」という、かつて3度のF1世界王座に輝いたニキ・ラウダがマッサを擁護(ようご)するコメントを掲載している。
そして、昨シーズン前に息子のマネジメント業から身を引いた父親のアンソニーはルイスのマネジメントチームの失敗を指摘している。現在ルイスのキャリア管理を行っているのは、著名マネジャーのサイモン・フラーが率いるXIX Entertainment(19エンターテインメント)だ。
今回のシンガポールGPに、新しくマネジメントを受け持つことになったフォース・インディアのエイドリアン・スーティルと共に姿を現したアンソニーは「ルイスを除く全ドライバーには、会社から派遣された人間じゃなくて、ちゃんとしたとマネジャーがいるだろう? F1ドライバーは非常に大きなプレッシャーに耐えなければいけない。だから、個人的にドライバーの生活に関わって支えることができるような人物が必要なんだよ」と強調した。
「チームとドライバーの契約を取りまとめる。周りのみんなに敬意を持って接する。これがこのビジネスだ。私はルイスと会ったけど、大丈夫だった。今は辛い時期だが、彼はまた以前のようになるだろう。間違いなくね」と締めくくった。