今年F1デビューを果たしたポール・ディ・レスタ(フォース・インディア)が同年代のライバル、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)やルイス・ハミルトン(マクラーレン)に追いつくことを目標にレースをしていると胸の内を語った。
ディ・レスタは下位カテゴリーのころから頭角を現し、2005年からF3ユーロシリーズに参戦。2005年シーズンはハミルトンが圧勝したが、2006年には未来のライバルとなるベッテルを抑えてタイトルを獲得した経歴をもつ。この年には、小林可夢偉(ザウバー)もディ・レスタやベッテルと同じチームでF3ユーロシリーズを戦っていた。
F3ユーロシリーズを制したことで、F1昇格の可能性も十分にあったにも関わらず、ディ・レスタは2007年からドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に参戦した。この間にベッテルは一足先にBMWザウバーからF1デビューを果たし、ハミルトンもF1直下のGP2で周囲を圧倒する強さを見せつけ、マクラーレンでの鮮烈なF1デビューへの道を着実に進んでいた。
ライバルに先を越されながらもDTMで経験を積み、今年ついに念願のF1参戦を果たしたディ・レスタは、今シーズンすでにF1界に好印象を与えている。
『Autosprint(オートスプリント)』とのインタビューでディ・レスタは自身のキャリアついて、自身をサポートしてきたメルセデスからDTMのシートをオファーされた事がターニング・ポイントであったと語っている。
「実はメルセデスからのDTM参戦のオファーについて、しばらく悩んだんだ。どうしてもシングルシーター(F1などの一人乗りレーシングマシン)のマシンに乗りたかったから」(※DTMは市販車をベースにしている)
「だけどその希望はすんなりかないそうもなかったんだ。GP2でもテストを受けたんだけどマシンは僕には小さすぎて、シートを3度も交換したけど厳しかったよ」
「だからDTM参戦がベストな選択だと考えた。でもいつかは必ずF1にのぼりつめたかった。そのためにもレースの第一線から退いてはいけないと思ったんだ。誰かの目にとまるためにも勝ち続けなければってね」
デビューシーズンの前半戦が終わったが、今後しばらくの間ディ・レスタのF1のシートは安泰だ。さらに、メルセデスが保有するF1チーム、メルセデスGPへの移籍もうわさされている。
だが昔からのライバルであるハミルトンやベッテルにどんどん先を越され悔しくはないのだろうか?
「F3時代のチームではいつも僕、ベッテル、小林(可夢偉)、それから(ギド)ヴァン・デル・ガルデ4人一緒だったんだ。ベッテルがF1デビューを果たしたのは、彼が自分の持っている力を最高な形で見せたからなんだよ」
「ハミルトンだってそうだ。F1以前の下位カテゴリーの時から彼はすごいドライバーだった。F1のトップチームでレースシートを得て、すぐに活躍し始めたのは自然なことだったんだ」
また、ディ・レスタは今までの自分の歩んできた道を冷静に見つめているようだ。
「例えば、もしベッテルが得たチャンスを僕も得ていたら、どこまでそのチャンスを生かしていたかは正直わからない。それと同じで彼がもし僕の立場だったとしても、DTMで僕が残した結果を残せていたかはわからないよね」
「彼らの両方とも、僕が今まさにやろうとしていることをすでに成し遂げたんだ」