2年連続で自身2度目のタイトル獲得を確定させたレッドブルのセバスチャン・ベッテルは、その後も世界のメディアを感心させ続けている。
ベッテルは鈴鹿で行われた日本GPで3位となってタイトルを確定させたが、その1週間後に行われた韓国GPではまたすぐに表彰台の中央に立ってみせた。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は次のように書いている。
「彼(ベッテル)はシューマッハ(ミハエル/現メルセデスGP)が持つ1シーズン13勝の記録を追いかけている。鈴鹿での祝宴もベッテルのこの決心を曲げさせることにはならなかったようだ」
他の複数のメディアも、すでにタイトルを獲得するというゴールが達成されたにも関わらず、勝利にこだわるベッテルの決意に対して好印象を持っているようだ。
『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は次のようにベッテルを賞賛している。
「彼はさらなる成功に向けてハングリーであり、決して満足することがない」
また、『Tuttosport(トゥットスポルト)』も同意見のようだ。
「ベッテルはあたかも貪欲な人食い人種のようだ。彼のヒーローであるシューマッハと同じようにね」
タイトルを獲得したとはいえ、依然としてアクセルを緩めようとしないベッテルの意思の強さは韓国GPでの最終ラップで見せた前代未聞のペースが示しているとおりだ。ベッテルは2番手のルイス・ハミルトン(マクラーレン)に対して10秒以上のリードを持って最終ラップに入った。普通であればもうそこではスピードを緩め、確実にゴールすることを目指すものだが、ベッテルはなんとそこで1分39秒605というファステストラップを記録してみせたのだ。このタイムはただ1人39秒台に入れてみせただけではなく、その次の記録であるマーク・ウェバー(レッドブル)の1分40秒294よりも約0.7秒も速いものだった。
このことについて、ベッテルは後で次のようなジョークを飛ばしている。
「そのうちチームに殺されてしまうかもね。そのときチームは無線でこう言ってきたんだよ、“バカ、(ファステストラップを)出しちゃったよ”ってね」
そして、ベッテルはその最終周で記録したファステストラップについて、次のように言葉を続けている。
「たいしたことじゃないけど、多分それは僕のエゴがそうさせたんだと思う。(ファステストラップをとっても)それでポイントが得られるわけでもないしね。だから僕の立場としては本当にバカなことかもしれないけれど、でも今気づいたんだ。自分はそれで幸せなんだってね」