コース上での追い抜き増加を目的に、今季からF1に導入されたDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)。安全面を考慮し、モナコGPでは禁止になる可能性があると報じられていたが、ドライバー側も禁止にすべきと考えている。
DRSは、走行中にリアウイングの角度を変えて空気抵抗を減らし、最高速を向上させるシステム。フリー走行と予選では自由に使用できるが、決勝では追い抜きのみに使用を限定するため、前を走るクルマの1秒以内に近づいた場合のみ、指定された区間でしか使用できない。
しかし、ヤルノ・トゥルーリ(チーム・ロータス)が語るように、モナコGPのコースは曲がりくねっており、ガードレールに囲まれているため、DRSの使用は危険だという意見がある。また、モナコはストレートが短いことから、DRSを使用しても効果が少ないとも言われている。
「これは安全面の問題だよ」とトゥルーリは母国イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』にコメントしていた。
トゥルーリのチームメートであるヘイキ・コバライネンも、この意見に賛成しており、『ITV』へこう話した。
「モナコで起こり得る結末を考えると、失敗はしたくないし、コース以外に注意が向くようなものは欲しくない。(DRSを禁止にする)意味はあると思うよ」
しかしコバライネンは、この数年のルール変更の中で、DRSは最も効果があったとも話している。ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)もDRSの効果は大きいと考えており、「このスポーツを面白くするために考えられた、最高のアイデアだね」とメディアへ話していた。
DRSは、人工的に追い抜きを増やすものであり、レース本来の姿ではないと批判する意見もある。こういった意見に対しロズベルグは、「全員平等だよ。みんな同じようにチャンスがある」と反論した。
だが、ロズベルグの所属するメルセデスGPのDRSは、トラブルも多いものの、正常に機能しているときには全チーム中、最も効果が大きいシステムだとも言われている。
「中国GPのように、きちんと機能しているとき、われわれのシステムは非常に優れている」とメルセデスのモータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグも認めていた。