混迷を深めるブロウン・エキゾースト規制、撤廃の可能性も

2011年07月10日(日)

イギリスGPから導入されたブロウン・エキゾースト規制を巡り、ルールの適用方法などについて混乱が広がっている。

ブロウン・エキゾーストとは、クルマを地面へ押し付けるダウンフォースを発生させるパーツ、ディフューザーへ排気ガスを吹きつけ、ディフューザーの効率を高めるシステム。多くのチームが、アクセルを踏んでいないときにもディフューザーへ排気ガスを流すシステムを開発し、ブレーキング時やコーナー入り口での安定性を向上させていた。

しかし、F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)は、排気を空力に使うのはルール違反と判断し、イギリスGPからブロウン・エキゾーストに規制を加えることを決定。当初、スロットルをオフにしているときの排気を全開時の10%に抑えるとしていた。しかしレッドブルを含むルノーエンジンを搭載するチームから、信頼性の観点から最低でも50%の排気が必要だとの異議が出されていた。

そして、8日(金)になってFIAがこのルノーエンジン側の申し出を受け入れることが明らかとなった。

マクラーレンのチーム関係者によれば、ルノーが50%を許容されたということについてライバル勢が初めて知ったのは、金曜日のフリー走行の間のことだという。それはフェラーリのチーム代表であるステファノ・ドメニカリがマクラーレン代表のマーティン・ウィットマーシュにこう告げていたのが聞こえてきたときだった。

「あいつら(レッドブル)がまたやってるよ」

マクラーレンのジェンソン・バトンはこの件に関し、『AS』へ次のように話している。

「僕らはみんな、“ちょっと待てよ。僕らも同じことができるのかい?”って言ってたよ」

また、ブロウン・エキゾーストが採用されていなかった2009年シーズンのエンジン設定に基づいて、メルセデスも20%の排気が認められていることが明らかになった。

マクラーレン代表のウィットマーシュはこの状況に際し、次のように述べている。

「今週末は、このことによって多くのチームが守勢に立つことを余儀なくされるのは間違いなく、今のところはそれに対処しようとしているところだ」

8日の夜遅くになってレッドブルとマクラーレン間のブロウン・エキゾーストに関する騒ぎがようやく静まった頃には、マクラーレンはすでに絶え間なく変更されるルールに合わせるため、GP2ドライバーのオリバー・ターべイをシミュレーターに入らせ、懸命の作業を進めていたという。

ブラジルの『O Estado de S.Paulo(オ・ エスタード ・ジ・サンパウロ)』の記者リビオ・オリキオによれば、8日(金)の遅くにこの問題を検討するために開かれた技術会議の後でさらなるルールの明確化が予定されており、土曜の朝にはそれが明らかとなる見込みだという。

「会議の空気は張りつめていた。今日(9日の土曜日)にもFIAの最終決定が通達されるだろう」

しかし、9日になっても混乱が収まることはなく、ルノーエンジン勢も、一度は認められていた50%の排気を流すことが禁止されたという。また、もしチーム側が満場一致で賛成するのなら、規制を撤廃し、イギリスGP前の規定に戻すことをFIAが提案しているとの情報もある。

イギリスGP前の規定では、排気ガスをディフューザーへ流すことに規制はかけられておらず、予選と決勝の間にエンジン設定の変更を行うことを禁じ、予選時にだけ極端な設定にして、より多くの排気ガスをディフューザーへ流せないようにしていた。

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