2012年にフォース・インディアからF1復帰を果たすことになったニコ・ヒュルケンベルグだが、豊富な資金力をバックにもつ他のドライバーによって自身のF1復帰がダメになるかもしれないという不安を持っていたことを認めている。
ヒュルケンベルグは1年前に当時所属していた名門チームのウィリアムズから放出されたが、それは「自分の力量とは全く関係のない理由によるものだった」と、『Sport1(スポーツ・ワン)』に語った。
ヒュルケンベルグを放出したウィリアムズは、代わりに2010年度のGP2チャンピオンとなったパストール・マルドナードと契約をしている。マルドナードは母国ベネズエラから強力な支援を受けているドライバーだ。
ヒュルケンベルグはそのためやむなくフォース・インディアに移籍したが、そのときの契約条件は2012年に昇格させるという保証のもとに1年間はリザーブドライバーを務めるというものだったと考えられている。
今回、まさにその予定通りに進んだわけだが、ヒュルケンベルグは待っている間は不安だったと認めている。
資金を持ち込めるドライバーからまたシートを奪われるという心配はしなかったか、と問われたヒュルケンベルグはそれを認め、次のように答えている。
「うん、その心配はあったよ。でも、僕は1年を通じてチームと話し合ってきたし、彼らがどういう計画を持っているのか、そしてどのようにそれを進めてゆきたいのかということが分かっていた」
さらにヒュルケンベルグは、シートを得るために金を支払ったのか、あるいは大きなスポンサーシップを持ち込んだのか、という問いに対してはいずれも「ノー」と答えている。
とはいうものの、今回のフォース・インディアの決定はある意味では少々驚くべきものだった。今回放出が決定されたエイドリアン・スーティルは2011年シーズンに申し分のない結果を残していたし、なおかつコンピュータ会社の『メディオン』という堅実なスポンサーの支援も持っているからだ。
ヒュルケンベルグが追い出した形となった同郷の先輩ドイツ人ドライバーであるスーティルとの関係はどうか、と尋ねられたヒュルケンベルグは「とてもいい」と主張し、次のように付け加えた。
「エイドリアンとはもう長い付き合いだけど、今回の状況について僕たちは何も話さなかった。彼は自分自身のことにものすごく集中していたし、それはとてもプロフェッショナルな姿勢だと思ったよ。僕に対して怒っているなんてことはないね」
スーティルとしても怒るわけにはいかないだろう。ヒュルケンベルグも昨年似たようなF1における残酷な仕打ちを受け入れるしかなかったのだからだ。
ヒュルケンベルグはスーティルに関して、さらに次のように語っている。
「当然ながら(F1は)とても残酷なものだからね。でも彼に対して申し訳ないとは思っていないよ。きっとシートを獲得するだろうからね」