ブロウン・エキゾースト騒動は、技術的な意味合いより政治が色濃く反映されていた。そう主張するのは、かつてのメルセデスのF1エンジン開発責任者、マリオ・イリエン。イギリスGPで噴出した一連のゴタゴタを部外者の立場で見守ったひとりである。
イギリスGPの週末、チーム側は、F1統括団体FIA(国際自動車連盟)によるエキゾーストの取締りは、エンジンの信頼性を損なうものとして不満を訴えた。
ところがイリエンは、母国オーストリアの情報サイト『ennstal-classic.at』とのインタビューで次のように発言している。「それが問題ではない。その議論にも一理あるが、彼らの論点は他にある。あれは政治的な意味合いを持つものだよ」
また、2014年に、1.6リッター6気筒のターボエンジンを導入することで、現行のV8エンジンが生み出すエンジン音が失われるとの根強い危惧(きぐ)についても、これを否定した。
「大した問題じゃないと思う。V6ターボのエンジン音も、なかなかだよ」
ジャック・ビルヌーブの元マネジャー、クレイグ・ポロック経営のピュア社がF1用のV6エンジンを設計中だが、イリエンがこの後を追うかどうかは分からない。
「まだ話せないね。自動車メーカーがわれわれのエンジンを欲しいというなら、長期プロジェクトになると考えられるし、とても興味をそそられる」