2011年のルール変更により、F1での追い抜きは回数が2倍に増えている。
メルセデスGPの分析によると、今季の全19戦のうち9戦を終えた時点での追い抜きは623回に上るという。『AFP通信』によれば、この数字は、2010年シーズンの合計回数である547回をすでに上回っている。
メルセデスGPは、これまで2011年シーズンに見られた追い抜きのうち225回は「普通の」追い抜きであり、180回は2011年シーズンから導入されたDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の恩恵によるものだと分析している。
DRSは、追い抜き増加を目的に今シーズンから導入されたシステム。決勝でバトル中のクルマのうち、後ろのクルマのみリアウイングの角度変更をできるようになり、空気抵抗を低減して最高速を向上させ、追い抜きの手助けにするものだ。
この分析結果はつまり、性能低下の激しいピレリタイヤが、今季の追い抜き増加に大きく貢献していることも示している。
一方でDRSは、シーズン序盤に比べて追い抜き増加への効果が薄れてきており、最近のバレンシア(ヨーロッパGP)やシルバーストン(イギリスGP)ではそれぞれDRSによる追い抜き回数が44回と29回にとどまっている。
さらに、フェラーリのシャシー部門責任者パット・フライが、ニュルブルクリンクで開かれるドイツGPにおいてもDRSの効果は限定的だろうと話している。
「(ドイツGPでの)DRSを決勝で使える区間に設定されている高速コーナーからバックストレートに至る区間で、先行するクルマにぴったり張り付いて走るには少し勇気が必要だ」
F1の公式ウェブサイトが今週掲載したミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)のインタビューでは、今後F1に期待する革新は何かを尋ねられたシューマッハがこう答えている。「もっと多くの追い抜きだ」