イタリアの日刊紙『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』によれば、フェラーリではすでに2012年型車の縮尺模型による風洞テストを行っており、それにはレッドブル方式のリアサスペンション構造が取り入れられているという。
フェラーリは、今年のクルマを開発するにあたって、レッドブルが採用したようなプルロッドではなく、一般的なプッシュロッド式のサスペンションにこだわった。その結果として、フェラーリは今季、苦戦を強いられることになった。
『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』はこの件に関して次のように伝えている。
「マラネロ(フェラーリの本部)では、今季の不満足な結果を踏まえ、すべての事項が検討の対象となっていた。プルロッド方式の採用により、クルマの後部をより低重心かつコンパクトにすることができるだろう。だが、それが見られるのは来年のことだ」
「今年の最終6レースは、レースではあるものの、そこで来季に向けた機構や空力パーツのテストが行われることになるだろう」
サスペンションとは路面の凹凸による振動が車体に伝わることを防ぐための緩衝装置のこと。これにより走行中のクルマの振動を抑えるのはもちろん、タイヤの接地率を高めることでクルマの能力を最大限に引き出すことができる。サスペンションのスプリング(バネ)とタイヤ部分をつなぐロッド(棒状パーツ)の取り付け方法によって大きくプッシュロッド式とプルロッド式に分けられる。
プッシュロッド式とは、タイヤが持ち上がろうとするときに、ロッドが押す(プッシュ)ことでスプリングを作動させるもの。正面から見るとクルマの左右にハの字型にロッドが取り付けられる。
これに対してプルロッド式とは、タイヤが持ち上がろうとするときに、スプリングを引っ張る(プル)ことでスプリングを作動させており、正面から見るとロッドが逆ハの字となる。
両方式ともに一長一短があるものの、プルロッド方ではスプリングなどを低い位置に設置できるため、低重心化が図りやすく、空力面でも効果が上げやすいというメリットがある。しかし、F1では現在のクルマの構造上フロントサスペンションはプッシュロッドが一般的になっており、リアについてもプッシュロッドを採用採用することが多かった。
その中でレッドブルが昨年、プルロッドをリアに採用して大きな話題となり、今季はマクラーレン、ロータス・ルノーGP、ウィリアムズなど、採用するチームが増えている。