7度の世界タイトル保持者ミハエル・シューマッハが復帰してから、今年で2年目。その「モチベーション」に、ジャック・ビルヌーブが疑いの目を向けている。
「彼の復帰は関心を持って見守ったけれど、相変わらず健康そうで、しかも速いね」と言うビルヌーブ。シューマッハとは1997年の最終戦までタイトルを争い、最後はシューマッハとの接触。シューマッハがリタイアするという形でビルヌーブのタイトルが決定するといった因縁もある。
しかも、後にこの接触はシューマッハの故意によるものと判断され、シューマッハはランキングのはく奪というペナルティーを受けた。
間もなく40歳の誕生日(4/9)を迎えようというビルヌーブ。いったん引退しながら3年ぶりに現役復帰したシューマッハについては、「期待が高すぎた」と評している。
スポーツ紙『L’Equipe(レキップ)』に対してビルヌーブは、次のように話す。
「彼については誰もが、ニコ・ロズベルグ(チームメート)より1秒は速く走るだろうと思っていた。ところが、実際のところフェラーリ時代、彼がルーベンス・バリチェロ(当時チームメート/現ウィリアムズ)より速かったのは、タイムにしてコンマ1秒だよ。時間の経過とともに、コンマ1秒が人々の記憶の中で1秒に膨らんでいったんだ」
「(シューマッハは)勘を取り戻すのに多少、時間がかかったけれど、走りはそれほど悪くなかった。でも本当のモチベーションは、いったいどこにあったんだろうね? 去年なんか、ひどい結果を出した後でも、彼は笑顔を浮かべていたじゃないか」
2011年について、ビルヌーブはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を本命とみている。
「スペインの闘牛のようだよ。誰も彼を止められない」と笑う、ビルヌーブ。「どんな状況下でも、彼はベストを引き出す。さらに、平均的なマシンでも勝てることを、彼は証明している。しかも、1人でチームを引っ張って行けるんだ」
さらにビルヌーブは、一連の新サーキットに厳しい目を注いでいる。
「最近のサーキットは、レースなんか見られないよね。グランドスタンドがコースから遠すぎる。スピード感が無いので、観客はドライバーの冒すリスクを屁とも思わない。TVゲームをやる人なら誰もが、自分にもできるって感じるんじゃないかな」