6月26日にスペインのバレンシア市街地コースで決勝が開催されるヨーロッパGPにおいても、今週末に開催されるカナダGPと同様に決勝でDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)を使用できる区間が2カ所になるが、これによってレースが面白くなることをヨーロッパGP主催者は期待している。
DRSとは、走行中にリアウィングの角度を変化させて空気抵抗を減らし、追い抜きをしやすくするシステム。フリー走行や予選では自由に利用できたが、これまで決勝で利用できるのは1ヶ所のみだった。しかし、カナダGP以降は、サーキットによっては決勝でDRSを使える区間が2ヶ所になる。
ヨーロッパGPの主催者であるバルモア・スポーツのホルヘ・マルチネスは7日(火)、これまでそれほど見せ場の多いレースにあげられていなかった同レースが、可変リアウイングによって変わるだろうとして、「すばらしいレースになることを期待している」と『El Mundo(エル・ムンド)』紙に語っている。
現在のF1において唯一、同一国で2回(スペインGPとヨーロッパGP)のF1レースが開催されているスペイン。しかし、観客動員数不足などの問題により、特にバレンシアの存続を危ぶむ声も少なくない。特に来年以降F1のレース数がさらに増えることに伴い、2つのレースが開催されるスペインでのヨーロッパGP開催が見直されるのではないかとの噂を打ち消しながら、マルチネスはこう続けている。
「われわれは2014年までの契約があり、2019年までそれを延長する選択肢を持っている。われわれはそれを実現することができると信じているよ」
ヨーロッパGPの主催者は決勝日に8万人の観客を動員し、黒字化することを目指して今年の観戦チケット料金を12パーセント値下げしている。また、今季から導入されたDRSによるさらなる見せ場創出の期待感も強く持っているようだ。
一方で、スペインの自動車レース協会会長のカルロス・グラシアは、バルセロナで行われるスペインGPと、バレンシアで行われるヨーロッパGPの間隔がもっと開くことがこの問題解決の一助になるだろうとして、次のように述べている。
「スペインでの2つのレースの契約は有効だし、支払いもちゃんと行われている。その契約が全うされることを望んでいるよ。ただ、開催日を変える必要はあるかもしれない。そうすれば2つのレースの間隔が空く。だが、スペインでの2つのレースはいい状態で共存できるはずだ」