イギリスGPで大きな問題になったブロウン・エキゾースト規制をめぐる問題が、ひとまず収束したようだ。
ブロウン・エキゾーストとは、空気の力でクルマを地面に押し付けるダウンフォースを発生させるパーツ、ディフューザーへ排気ガスを流すことで、ディフューザーの効率を上げるシステム。複数のチームがこれを発展させ、アクセルを踏んでいないときにもディフューザーへ排気ガスを流すシステムを開発し、ブレーキング時などのパフォーマンス向上に利用していた。
しかし、F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)が、アクセルを踏んでいないときには、アクセル全開時の10%以上の排気を認めないとする規制をイギリスGPから実施することを決定した。
だが、現在F1の最速チームになっているレッドブルにもエンジンを供給するルノーは、エンジンの信頼性に問題が起こるとして、50%の排気を認めるよう要請。いったんはこれが受け入れられたが、これを知ったライバルチームが抗議し、ルノーエンジンへの例外は認められなくなった。
そして、今度はレッドブルなどがこれに抗議、イギリスGPの舞台となったシルバーストンでは、各チーム首脳による政治的な駆け引きが行われていた。これを受けて、FIAの技術委員であるチャーリー・ホワイティングは、イギリスGP前の規定に戻すことを提案。FIAとしても、全チームが同意すれば、規約をイギリスGP前のものに戻すことを認めるとのことだった。
この規定では、アクセルを踏んでいないときの排気ガスに規制はかけられないが、予選と決勝の間にエンジン設定を変更できない。そのため、予選ではより多くの排気ガスを流す設定にし、決勝では燃費や信頼性を考慮した設定に変更することができなくなる。
だが、イギリスGPに優勝したフェラーリと、フェラーリエンジンを搭載するザウバーが、イギリスGP前の規定へ戻すことに反対していた。結局は、フェラーリとザウバーもこれに賛成したが、その理由についてザウバーのマネジングディレクターであるモニシャ・カルテンボーンは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』へこう語った。
「F1のイメージやファンのことを最優先に考えました。合意に至ることができ、うれしく思っています」
また、フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、『La Stampa(ラ・スタンパ)』へ次のように語った。
「みんなが自分はどんなアドバンテージを得られるか考えるような状態はよくない」
「そのため、目だった行動はしないことに決めた。何を失うか、何を失わずにすむかなど考えず、シルバーストン以前に戻すという合意に署名した」