F1ドライバーからTV解説者に転身したニキ・ラウダとデビッド・クルサードのふたりが、イギリスGPでチームオーダーを発動したレッドブルを支持している。
レース終盤、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)の後ろでポジションを守れとの指令を無視したマーク・ウェバー(レッドブル)は、不満げな表情がありありだった。
ジャン・トッドがFIA(国際自動車連盟)会長に就いて以来チームオーダーは合法となったが、今回の出来事は、自由にレースするか、数百人の人員を抱えるチームの事情を優先させるかという昔からの議論が再燃する形となった。
では、ウェバーのチャンスを摘んだレッドブルは誤りだったのだろうかと、ドイツ『motorsport-magazin.com』に聞かれたラウダは「いや、そんなことはない。クリスチャン・ホーナーが無線で指示した内容は、完ぺきに理解できる。彼は2台とも心配していたのだから。私には何の問題もないよ」と語った。
元レッドブルのドライバーで現在も同チームでコンサルタントを務めるクルサードは、ラウダと同意見だが、イギリス『Telegraph(テレグラフ)』紙に寄稿するコラムで、「レース終盤にきて貴重なポイントをみすみす逃すような真似は、スポンサーと数百万ドル規模の契約を結ぶチームなら避けて当然さ。しかし、(オーナーの)ディートリッヒ・マテシッツはファイター好みだ。ナヨナヨしたドライバーはいらないはずだよ」と語り、ウェバーの振る舞いが今後に影響しないとみている。
また、1996年のF1世界チャンピオン、デーモン・ヒルは「追い越しするなと命じられたら、これはレーシング・ドライバーにとって相当の重みがある」とコメントした。
今回ウェバーが行ったチームオーダー無視によって、レッドブルと新契約を交渉するウェバーの立場は微妙となる。現に、ホーナーはウェバーと個人的に話す予定になっている。