ニック・ハイドフェルド(ロータス・ルノーGP)は、自身が「チームオーダー」を受けた際には、無視することなくそれに従うと語った。
マーク・ウェバー(レッドブル)がイギリスGPの終盤にチームメートを抜くなと指示するチームオーダーに従わなかったことで、過去のものとなっていたチームオーダー論争が再び論議の的となっている。
しかし、34歳となり200戦目の出走を間近に控えた現在も初優勝への夢をあきらめないハイドフェルドは、ドイツGPの舞台であるニュルブルクリンクで『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』誌の取材に応じ、BMWに所属していた2008年にカナダGPで当時チームメートだったロバート・クビサに順位を譲る形で優勝をあきらめたことを認めた。
「自分が優勝できるとわかっていたんだ。目の前に勝利が見えた、キャリアでたった一度のチャンスだったけど、チームのためにそれをあきらめたんだよ」
「カナダでは僕がトップを、クビサの前を走っていた。あの時、僕と違う戦略を採っていたクビサはもう一度ピットストップしなくてはいけなかった。一方の僕はピットストップを終わらせていた」
「だから、彼の戦略を生かすために前に行かせたんだ。チームの計算では、僕が1位でクビサが4位になるか、僕が協力することでワンツーフィニッシュになるかどちらかだった」
ここで、インタビュアーのラルフ・バッハは、ハイドフェルドにあのときの決断を後悔しているか尋ねた。
「つまり、こういうことなんだよ。一度も優勝せずにキャリアを終えるとすれば、答えはイエスだ。中にはチームからの指示を無視するドライバーもいるってことも僕は知ってる」
「けれど、僕はF1ドライバーであると同時にチームの一員でもある。そのことを忘れてはいけないんだ。チームの一員であることが悪い方向に作用することもあるけれど、そういうものなんだよ」
縁とは奇なるもので、ハイドフェルドは現在、クビサの代役としてロータス・ルノーGPのシートを手にし、クビサのケガからの回復を願う一方で、2012年も自身がチームに残留することを願っている。
「チームに残るためならできることは何でもするよ。それが僕にとってのゴールだからね」