シューマッハF1デビューのきっかけとなった元F1ドライバー、20年前を追想

2011年08月30日(火)

F1界の多くにとって、ベルトラン・ガショーといえば、1991年、当時無名の新人ミハエル・シューマッハ(現在メルセデスGP)にジョーダン(現フォース・インディア)のシートを明け渡したドライバーといった記憶しか残っていないだろう。

20年前のベルギーGPで衝撃のデビューを飾ったシューマッハとは裏腹に、ガショーは、シーズン前にイギリスで起こしたタクシー運転手に催涙(さいるい)ガスを吹きかけた事件で、ベルギーGP前に投獄されていた。

現在、栄養ドリンク企業『Hype(ハイプ)』を経営するガショーは、当時についてドイツの『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンタック)』紙に、こう語っている。

「タクシーの一件が起きたのは1990年12月のことだった。8カ月後の1991年8月、私は裁判所に召喚されたが、弁護士は、たいしたことはないと言っていたよ」

ベルギーGP1週間前の出来事だ。このとき裁判官は、数百万ポンド(当時のレートで1ポンド=約230円)の罰金に加えて禁固刑をガショーに言い渡したのである。

「私はイギリス国民にとって有害な人物だというのさ。8カ月も後に言うことかな!? 禁固2年の判決を受けた私は、結局、2カ月服役した。催涙ガスは武器とみなされたため、殺人犯と同じ監房に入れられたんだ」

当時のチームオーナー、エディ・ジョーダンにとっては好都合だった。このシーズン、既にガショーのスポンサーから資金を得ていたジョーダンは、16万ドル(当時で約2100万円/当時のレートで1ドル=約136円)を支払うというメルセデスの条件を飲み、メルセデスの育成ドライバーだったシューマッハをF1にデビューさせたのだ。

ガショーの催涙ガス事件を裁判に持込んでスポンサー資金を余計に得たジョーダン・チーム。これについてガショーは、次のように語っている。

「あいつの名前さえ口にしたくないね。マイケル(シューマッハ)のことじゃないよ。彼はすばらしい人物で、偉大なレーサーさ。彼にとって私は幸運の女神みたいなもの。私が牢屋に入らなければ、彼のキャリアはずいぶん違ったものになっていたかもしれないよ」

この記事をシェアする

【関連記事】

2011年 F1ニュース一覧 rss

2011年F1ドライバー

2011年F1チーム

世界選手権

フォーミュラカー

市販車ベース