オー・ルージュでマーク・ウェバーが見せた追い抜きに賛否両論

2011年09月08日(木)

ベルギーGPの舞台スパ・フランコルシャンの名物コーナー、超高速のオー・ルージュ(2コーナー)でマーク・ウェバー(レッドブル)が見せた追い抜きについて、賛否両論が巻き起こっている。

ウェバーは2週間前に開催されたベルギーGPにおいて、伝説的な恐るべきコーナーであるオー・ルージュで最高速に迫るスピードを出しながら外側からフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を追い抜いたが、そのときアロンソに軽く接触したことを認めている。

ウェバーと来季の契約を済ませたレッドブル代表のクリスチャン・ホーナーも、さすがにこれには驚いたようで、次のようにコメントした。

「言わせてもらえば、あいつは度胸がすわってるってことだよ」

元F1ドライバーであるデビッド・クルサードは、ちょうどそのときイギリスのテレビ局で解説を行っている最中だったが、ウェバーの追い抜きを見たときには実際に後ずさりをしてしまったと打ち明け、レース後にも続いていたテレビ中継でウェバーにこう伝えた。

「君がスクリーンを突き抜けて飛び出してくるかと思ったよ」

また、『BBC』でクルサードとともに解説を行っている元F1ドライバーのマーティン・ブランドルも、ウェバーが見せた追い抜きを絶賛した。

「どういう見方をしたとしても、あの追い抜きは目を見張るほど印象的で、うまかったし、勇敢だった」

「ウェバーはもう1年以上も優勝していないかもしれないけが、あの追い抜きで私から永遠の尊敬を勝ち得たよ」

そして、当事者であるアロンソも、これについて「いい戦いだった」と話している。

しかし、必ずしもすべての人が感動したわけではないようだ。

元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーはオーストリアのTV局『Servus TV(セアヴスTV)』に、あの追い抜きシーンは1985年を思い起こさせたと語っている。その年、スパ・フランコルシャンで行われた世界耐久選手権に出走していたシュテファン・ベロフ(当時F1ではティレルに在籍し、有望な新人と目されていた)がトップを行くジャッキー・イクスをオー・ルージュで追い抜こうとしてクラッシュし、死亡するという事故が起きている。

F1で10勝をあげた実績を持つベルガーは、次のように語った。

「マーク(ウェバー)は多くの称賛を得ているようだが、私に言わせればあれはバカげた行為だ」

「もしベロフの事故のことを考えれば、彼(ウェバー)はアロンソを次のストレートで抜いていただろう。スパで最も危険な場所で追い抜きをかけるなんて、全く必要のないことだった。もしあそこで宙に舞うようなことになったら、死んでしまうよ」

しかし、ウェバー本人はその追い抜きは相手がアロンソだからこそできたことであり、”格別に楽しかった”と次のように話している。

「ほんの何人か、レースで一緒にああいうことができるドライバーがいるよ。お互いにギリギリのところまでもっていけるんだ」

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