ここ数戦の決勝で他車との接触を繰り返し、F1界の「暴れん坊」的なイメージがつきつつあるルイス・ハミルトン(マクラーレン)だが、ハミルトンの攻撃的なスタイルを擁護する意見もある。
ハミルトンはF1第6戦モナコGPの決勝中、ヘアピンでフェリペ・マッサ(フェラーリ)を抜こうとしてマッサと接触。この接触が原因となり、マッサはその先にあるトンネルでクラッシュし、リタイアした。
また、その後にセーフティカーが導入された後、レースが再開となった際にハミルトンは再び他車と接触。今回の相手はパストール・マルドナード(ウィリアムズ)だったが、マルドナードもマッサとの接触が原因でリタイアした。
その翌戦カナダGPの際にも、ハミルトンはレース序盤にマーク・ウェバー(レッドブル)と接触。その後、ホームストレートでチームメートのジェンソン・バトンを抜きにかかった際には、バトンと接触し、これが原因となってハミルトン自身がカナダGPをリタイアする結果となった。
以前から、攻撃的な走りを見せることの多かったハミルトンだが、接近戦のバトルが少なくなった近年のF1において、積極的に攻撃を仕掛けるスタイルはハミルトンの魅力の1つでもあった。しかし、周回遅れのドライバーをコース外に押し出すような走りをしたこともあり、不必要な「アグレッシブさ」があると批判されたこともある。
そして、この2戦で接触を繰り返してペナルティーを受けただけではなく、ついにはチームメートと接触してリタイアするという最悪の結末を迎えたことで、レース直後からハミルトンを批判する声が大きくなっていた。
しかし、F1の最高権威バーニー・エクレストンは、『The Independent(インディペンデント)』へこう語った。
「ルイスを非難するのは間違っている」
「われわれが求めているのは(単なる隊列走行ではなく)レースだ。このスポーツを見ている全員がレースを求めている。私は(アイルトン)セナの非常に親しい友人だったが、彼のことを思い出してみるといい。彼もレーサーだったし、みんな彼のために道を空けていたほどだ」
「ルイスは1度か2度、疑問符のつくような動きをしたかもしれないが、それは誰でも同じことだ。下位集団で何が起きているかなんて、誰も気にしないだろ? 常にあんな感じだよ」
このほかにも、元F1ドライバーであるヨス・フェルスタッペンが、『De Telegraaf(テレグラーフ)』のコラムで、バトンとハミルトンの接触について、バトンがハミルトンにスペースを空けていなかったことから、ハミルトンに責任はないとコメントした。
また、同じく元F1ドライバーであるクリスチャン・クリエンは『Servus TV(セアヴスTV)』で、「彼は単に、とても攻撃的なドライバーなんだ。サラブレッドなんだよ。F1には必要な存在だし、ああいったドライバーのおかげで、多くのレースがとても面白くなっている」と語っている。