今年から新たに導入されたDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)はカナダGPが開催されたジル・ビルヌーブ・サーキットでも多くの追い抜きシーンを生み出したが、このDRSを高く評価する声が出てきている。
近年のF1では、コース上での追い抜きが少なくなったことが問題視されていた。オーバーテイクと呼ばれる追い抜きは、モータースポーツ観戦のだいご味の1つ。しかし、近年のF1ではオーバーテイクが非常に難しくなっており、その理由についてはコース形状や空力に頼ったクルマになっていることなど、さまざまな要因が挙げられている。
そんな中、2011年からオーバーテイク増加のため、DRSが導入された。これは、走行中にリアウイングの角度を変えることで最高速を一時的に引き上げ、前を走るクルマを抜きやすくするというシステム。あくまで追い抜き増加が目的のため、決勝では前走車の1秒以内に近づいた場合のみ、指定された区間でしか使用できない。
当初、このシステムの効果には懐疑的な意見もあったものの、DRSの効果と思われるオーバーテイクが増えたのは事実だ。これに対し、人工的にオーバーテイクを増やしているだけだとする否定的な見方もあるが、オーバーテイク増加を歓迎する声もある。
2007年にフェラーリでF1ワールドチャンピオンとなったキミ・ライコネンのマネジャーであるスティーブ・ロバートソンも『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙にこう語っている。
「レースを純粋に愛する人たちの中にはDRSがレースを人工的なものにしてしまったと考えている者もいる。だが、どのレースも明らかに面白くなったのは事実だ」
「このシステムを考案したのが誰であれ、間違いなく称賛に値するよ。クルマはそのスピードを保ちながら、同時に追い抜きにかかることができるんだ。100点満点だよ!」