F1にエンジンを供給するコスワースが、自動車メーカーを相手にしたチーム争奪戦で、苦しい状況に追い込まれている。
現在F1にエンジンを供給しているのは4社、メルセデス、フェラーリ、ルノー、コスワースだ。メルセデス、フェラーリ、そしてルノーは自動車メーカーだが、コスワースは自動車メーカーではなく、レーシングエンジンなどを専門に扱っている、いわゆる独立系エンジンメーカーだ。
そのコスワースのエンジンを使用しているチームは3チームだが、その1チームであるウィリアムズは来季からルノーエンジンを搭載することが決定。さらにHRTも2012年はルノーエンジンを搭載するのではないかと報じられており、そうなった場合、コスワースエンジンを搭載するチームが1チームになってしまう可能性もある。
そもそも、2010年からF1参戦を開始したチーム・ロータス、ヴァージン、HRTは、コスワースエンジンの使用を条件にF1参戦を認められていた。
また、V6ターボにエンジンが変更される2014年からF1に参戦すべく、ピュア社がエンジン開発を開始しているが、同社代表のクレイグ・ポロックも、自動車メーカーとの競争に苦しむことになるのではないかとの見通しを語っている。
これに対し、現在レッドブル、ロータス・ルノーGP、チーム・ロータスにエンジンを供給し、来季はウィリアムズにもエンジンを供給することが決まっているルノーのF1部門、ルノー・スポールF1のマネジングディレクターであるジャン・フランソワ・コベは、次のように話した。
「われわれはF1の世界におり、レギュレーションがすべての問題を解決できるわけではないため、(エンジン供給の)自由参入市場化を求めている」
また、自社チームであるメルセデスGPのほか、マクラーレンとフォース・インディアにもエンジンを供給しているメルセデスのモータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグも、こう語った。
「もし5チームが“エンジンX”を選ぶならそうすればいい。(エンジン供給は)自由で開かれた市場であるべきなんだ」
その一方でハウグは、2014年からのF1参入を目指しているピュア社が実際にF1参入を果たし、合計で5社がF1へエンジンを供給することについては、懐疑的な姿勢を示した。
「そうなれば、たとえ競争が激化してもわれわれの誰もが喜ぶ事態となるが、おそらくエンジン供給社は5社に届かないだろう。さて、どうなるかな」