プライバシー権救済の裁判を起こした前FIA会長

2011年01月08日(土)

個人のプライバシーを暴かれたとして新聞社を相手取り裁判を起こしているマックス・モズレーは来週、フランスのストラスブールの欧州人権裁判所に出廷する。

FIA(国際自動車連盟)前会長のモズレーは2008年、イギリス大衆紙『News of the World(ニュース・オブ・ザ・ワールド)』による暴露記事の餌食(えじき)となった。当時67歳だったモズレーは、ナチスの格好をして複数の売春婦とSMプレイを繰り広げたと書かれたのである。

報道各社に対する訴訟に勝ったモズレーは次の一手として、新聞が個人生活について記事にする以前に裁判を起こす機会を求め、自国のイギリスを訴えた。

マスコミ側の弁護士キャロライン・キーンはイギリスの『Press Gazette(プレス・ガゼット)』誌に対し、仮にモズレーの勝訴ということにでもなれば、モズレーの行動は「調査報道を死に至らしめ」、新聞各社の「倒産」を引き起こしかねないと、次のように語っている。

「彼(モズレー)が訴えに勝てば、報道から多くの特色が取り払われ、その様相は激変するだろう」

裁判は11日(火)、双方弁護士の口頭弁論から始まる。判決が出るのは数カ月先とみられる。

「(訴えによって)真っ当な調査報道に影響が出てはならない。問題とすべきは、違法な性の暴露だ」と述べるのはモズレーの弁護士、ドミニク・クロスリーだ。「しっかり機能する、プライバシー権の実用的な救済手段がなくてはならない」とコメントした。

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