ジェンソン・バトン(マクラーレン)は、最近多くなったチームメート、ルイス・ハミルトンに対する批判から一定の距離を置いた。
ハミルトンは2009年シーズンまでマネジャーであった父親と袂(たもと)を分かって以降、XIX Entertainment(19エンターテインメント)という企業とマネジメント契約を結んでおり、従来のようなマネジャーを抱えていない。その後、ハミルトンは私生活でトラブルを起こしたほか、レースでも議論の的になるような走りが続いており、アドバイスを与える存在が必要なのではないかと言われている。
そのハミルトンはシンガポールGPでフェラーリのフェリペ・マッサと接触。5位という不本意な結果に終わるとともに、レース後にはその事故の件でマッサとの間にちょっとしたいざこざもあり、またしても後味の悪いレースとなった。
一方で、ハミルトンよりも長いF1経験を持つチームメートのバトンは、シンガポールGPで2位となったことでランキングも2位に上がり、数字的に唯一セバスチャン・ベッテル(レッドブル)のタイトル獲得を阻止できる可能性を持つドライバーとなるなど、ハミルトンとは対照的な安定した活躍を見せている。
そのバトンは『Telegraph(テレグラフ)』に、こういった件についてハミルトンと電話で話すつもりはあるか、と問われて次のように答えている。
「正直に言って、それは予定していないよ。僕たちはサーキットから離れれば話をすることなんかないんだ。(ハミルトンは)家に帰ればきっと彼を迎えてくれる人たちがいるはずだよ」
ベッテルがタイトルを確実なものとした今、最も興味深いのはマクラーレンでどちらのドライバーがチーム内の戦いを制するかということだ、とマクラーレンやバトン、ハミルトンの母国であるイギリスのメディアが伝えたことに対し、バトンは次のように続けている。
「僕らにとって大切なことは、シーズンの最後まで一緒に働くということなんだ。もしみんながお互いを争わせようとしたとしてもね」
しかし、バトンはハミルトンも含め他のどのドライバーとも戦い続けるつもりであることも明言する。
「僕の目標は最後の9レースで他の誰よりもポイントを稼ぐ、ということなんだ」
ランキングやチーム内において、バトンが優位な立場を強めていることがハミルトンを慌てさせているのではないか? との質問を受けたバトンは「分からないよ」と答え、次のように続けている。
「確かに僕は今のところ調子がいい。でも、もしルイスに話をしたところで、それで彼がドライビングスタイルやその他のことを変えるとは思えないしね」