先週末のF1第18戦アブダビGPで今季初リタイアを喫した、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)。すでにタイトル連覇を果たしているが、クルマを降りてからも大活躍だった。
リタイアしたドライバーは通常、チームの控室やモーターホームにこもるものだが、ベッテルは違った。チーム首脳陣がレース中に戦略を練り、ドライバーと連絡を取り合うピットウォールに陣取って戦況を最後まで見守っていたのだ。
『Kurier(クーリエ)』紙は、こうした経験が「勉強になった」というベッテルのコメントを紹介している。ベッテルは、チームメートであるマーク・ウェバーのレース戦略についてチームに助言を与えていたようだ。
「最初は5周だけ、付き合う気だったんだけどね」と、ベッテル。レース引退後はコースの外側でF1にかかわっていくつもりなのだろうか? レッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士は次のように話す。
「それはまた、ずいぶん先の話だね。しかし、彼の貢献には目を見張るものがあったよ」
そのアブダビGPでウェバーは、ピットストップを3回に変更し、最終周に最後のタイヤ交換を行うという変則的な戦略で戦った。これは、レース中に抜かれたフェリペ・マッサ(フェラーリ)を抜き返すためのものだったが、マッサがスピンしたこともあり、ウェバーは狙い通りマッサを抜き返すことに成功していた。
その一方、ベッテルをはじめF1を戦う者たちの心は、すでに今季最終戦ブラジルGPを越えて、新たな戦いとなる2012年シーズンに飛んでいる。
ウェバー、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、ルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンのマクラーレン勢、その上もしかしたらメルセデスGPの1台を巻き込んで、2012年は激しい争いになるだろうと、ベッテルは予想。また、『AS』が次のようなベッテルのコメントを伝えた。
「僕は今年も勝ったんだ。2010年はただ僕がラッキーだったなんて、もう言わせないよ」