トロ・ロッソのチーム代表フランツ・トストが、ドライバーラインアップを一新するという決断を行ったことについて、F1とは「厳しい」ものなのだと弁明している。
トロ・ロッソは今週、今季のドライバーだったハイメ・アルグエルスアリとセバスチャン・ブエミに代えて、来季はダニエル・リチャルドとジャン・エリック・ベルニュを起用すると発表していた。
トストは、ブエミとアルグエルスアリがいい仕事をしたことは認めながらも、トロ・ロッソというチームはエナジー飲料メーカーであるレッドブルの「新人育成学校」であると次のように語っている。
「2シーズン以上も経験を積めば、もはや新人とは言えないだろう」
「理想的にはスクーデリア・トロ・ロッソに在籍したドライバーはレッドブルへ昇格するチャンスが与えられることになるのだが、現状ではわれわれの姉妹チーム(レッドブル)に空席がないんだ」
「周りから見れば厳しい決定だと見えるかもしれない。しかしF1の環境は厳しいものだし、トロ・ロッソではドライバー選択の原則はこれまで一貫して明確だった」
アルグエルスアリとブエミは2人とも今週もたらされた予期せぬ知らせにショックを受けたと認めている。しかし一方で、オーストラリア人ドライバーであるダニエル・リチャルドにとってはうれしい驚きとなった。そのリチャルドは『West Australian(ウエスト・オーストラリアン)』紙へ次のように話している。
「それを勇気ある決断と言っていいのかどうかわからないけど、2人のドライバーを一度に代えてしまうというのはそれほど多くのチームがやることではないよね。彼らは僕たちにふさわしいチャンスを与えてくれている」
リチャルドと同郷のマーク・ウェバー(レッドブル)も、今回のドライバー人事についてはその明るい側面に目を向けているようだ。ウェバーは2012年末の引退もうわさされており、トロ・ロッソの来季ドライバーが2013年にレッドブルへ昇格するとの見方もある。
ウェバーは今年、友人や何人かのメディア関係者のためにクリスマスカードを作った。その表にはウェバーが暖炉に火がともされた居間でプレゼントを手にしている漫画が描かれているが、リチャルドとベルニュの2人が寒さに凍えながら窓の外から室内をのぞき込む姿も描かれている。そして、そこには次のようなウェバーのセリフが添えられた。
「親切な子たちだろう? 僕のクルマのためにシートウォーマーをくれたんだ」
リチャルドもレッドブル・レーシングのシートを得ることが目標だと認めている。
「もし僕たちがそれに値するなら、いつかは(レッドブルのシートを)得られるだろうと思っている。それがレッドブルの計画だと思うんだ。彼らはレッドブルのジュニアドライバーをそのシートにつかせたいと願っているはずだよ」