イギリスGPでマクラーレンとレッドブルを抑えて優勝したフェラーリだが、果たして2週間後のドイツGPまで勢いは続くのかと疑問符がついている。
イギリスGPの開催地、シルバーストンでフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が勝ちペースを維持できたのは、今季マシン「150イタリア」に新パッケージが装着されたからだけではない。天候不順と、レースにハードコンパウンドのタイヤが使われなかったこととも関係しているのだ。
さらに特筆すべきは、イギリスGPからFIA(国際自動車連盟)がオフスロットルのブロウン・エキゾースト規制。ブロウン・エキゾーストとは、空気の力でクルマを地面に押し付けるダウンフォースを発生させるパーツ、ディフューザーへ排気ガスを流すことで、ディフューザーの効率を上げるシステム。複数のチームがこれを発展させ、アクセルを踏んでいないときにもディフューザーへ排気ガスを流すシステムを開発し、ブレーキング時などのパフォーマンス向上に利用していた。
ドイツの『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』誌は、排気の空力利用が自由だったヨーロッパGP以前、フェラーリのエンジンを使用するチーム(フェラーリ、ザウバー、トロ・ロッソ)はオフスロットル時に最大50%までしか回転を上げられなかったと指摘する。
さらにフェラーリにとって不運なのは、以前の規則がドイツGP以降、復活することだ。
では、同レースの舞台ニュルブルクリンクで「150イタリア」はそのアドバンテージを失うのだろうか。
「それを言ったらフェアではないよ。結論は何がしかの人々に委ねるべきだ。フェラーリは今年がんばっている。その結果、優勝したんだ」と語るのは、マクラーレン代表のマーティン・ウィットマーシュだ。
フェラーリのテストドライバーを務めるマルク・ジェネは、規則が二転三転と何度も変わったイギリスGPにおいて、今季マシンは進化を遂げたものの常に競争力はあったと、次のようにスペイン『El Mundo(エル・ムンド)』紙に証言する。
「たとえ50%、20%、あるいは10%の排気だろうと、僕らは常にいい戦いをしてきた」
しかし、レッドブルとセバスチャン・ベッテルが大きくポイントを引き離している現在、それには議論の余地があると主張するのは、3度のF1世界チャンピオン、ニキ・ラウダだ。
「誰が見てもセバスチャンはチャンピオン街道まっしぐらだよ」と、ドイツ『N-TV』局に語るラウダだった。